境内にはいくつかの社がありますが、今回は眼病にご利益があるといわれる茶ノ木稲荷神社についてご紹介します。
市谷亀岡八幡宮について
市谷亀岡八幡宮は、江戸城を築いた太田道灌(おおたどうかん)が市谷御門(現在の千代田区)に文明11(1479)年、江戸城西方の守護神として鎌倉の鶴岡八幡宮の分霊をおまつりしたことが始まりです。
名前の由来の「亀岡」は、「鶴」に対して「亀岡」と称されました。
その後、寛永13(1636)年頃に江戸城の外堀が完成したことを機に、茶ノ木稲荷神社内へ遷座しました。
以降、江戸幕府の信仰も厚く、5代将軍綱吉の母・桂昌院(けいしょういん)や老中柳沢吉保(やなぎさわよしやす)が寄進や参詣し、社頭がたいへん賑わったと伝えられています。
現在、敷地内には、交通安全や海上守護にご利益のある金刀比羅宮や、立身出世や商売繁盛にご利益のある出世稲荷神社などの建物、新宿区唯一の銅の鳥居をはじめとした新宿区指定の文化財なども多数残されています。
茶ノ木稲荷神社について
茶ノ木稲荷神社は、市谷亀岡八幡宮の境内にある石段の左側にあります。
今から1000年余り昔に弘法大師・空海が関東へ向かう際に、初めて御鎮祭を行って開山したのが茶ノ木稲荷神社といわれています。
御祭神に稲荷大神をおまつりし、衣食住安泰、家内安全、商売繁盛、芸事上達、その他にも幅広くご利益を授かることができます。
また、茶ノ木稲荷神社の周りにはお茶の木がたくさん植えられています。
お茶は弘法大師が薬用として中国から日本に広めたといわれ、薬として珍重されていました。
今日でも、よそにはないお茶にまつわる風習が伝わっています。
茶ノ木稲荷神社に残る眼病平癒の伝説
なぜ、茶ノ木稲荷神社が眼病にご利益があるのかというと…ここには、ある伝説が残されています。
その昔、茶ノ木稲荷神社にいた神のお使いである白きつねが、誤って境内のお茶の木の枝で目をついて怪我をし、境内の霊泉で目を洗ったところ、目の傷が治ったのだとか。
そのことから、お茶を断って眼病にご利益があるといわれるようになりました。
その昔、氏子の間では正月の3が日はお茶を飲まない風習や、特に眼病を患っている人たちの間では7日、あるいは21日もしくは49日の間、お茶を飲むこと断って願掛けをするようになったそうです。
昭和30年代まであった茶ノ木稲荷神社の井戸水をいただいて目に注ぐ方もたくさん参詣されていました。
現在では、衛生上の理由で井戸が使用できなくなり水をいただくことができなくなりましたが、眼病平癒の祈願をされる方の参詣は多く、今日では祈願のためにお茶を断つのではなく、お茶を断って祈願をした日数に相当する茶葉をご神前に奉納したり、祈願成就の時のお礼参りに奉納されるようになりました。
ちょっと変わった慣わしとご利益
宮司さんによると、茶ノ木稲荷神社には『祈祷の時、又お礼参りの際に茶葉を奉納していく慣わしがございます。
茶ノ木稲荷神神社は其の故事により、古来より、7日、21日(三七日)、49日(七七日)間茶断ち(自分がお茶を飲まず)をして眼病平癒の願掛けをしたと言われております。
しかし今日の生活の中でお茶を断つことは難しくまた、勧められたお茶を断る事が出来ないシチュエーションも多々ございますので「先の期間お茶を断ち、願掛けをしました」と言う意味でお礼参りや、祈祷の際にお茶の葉を御神前に奉納するようになりました。
煎茶が一般的ですが、紅茶やウーロン茶抹茶等も奉納されることがございます。』とのことです。
また、このようにして参拝した方々の嬉しい声として、『眼病平癒の祈祷を実際に斎行されて、緑内障の進行が止まった、網膜症で治療中予後が良くなかったが、参拝して祈祷をしたら回復した、等の参詣者の、お話は枚挙にいとまなくございます』とも教えてくださいました。
白きつねの伝説から、眼病平癒にご利益があると広く知られる茶ノ木稲荷神社。 最近では、ここが眼病にご利益があることを知った小さな参拝客が「おじいちゃん、おばあちゃんの目が治りますように」と、祈願をする姿があったそうです。
皆様も、都会の中心にある市谷亀岡八幡宮を訪れてみてはいかがでしょうか。
>アクセス
JR・東京メトロ有楽線・南北線、都営新宿線「市ヶ谷」駅下車 徒歩2分
>住所
東京都新宿区市谷八幡町15
>お問い合せ
03-3260-1868
>URL
http://www.ichigayahachiman.or.jp/
>備考
【拝観料】無料
【参拝時間】24時間
※社務所が開いていない時間帯があるため、ご祈祷は電話で確認ののち申し込みのこと