美しい水が湧き出ることで有名な福井県・大野市には、眼病に良いとされる霊泉が湧き出しています。
篠座目薬と呼ばれる霊水に、パワーを分けて頂いてはいかがでしょうか。
名水のまち 大野市
福井県東部に位置する大野市は、市内各所で名水が湧き出ていることから、「名水のまち」として知られています。
今回訪れた篠座神社は、神域一帯が湧水地で、境内に湧き出ている湧水は古くから「篠座目薬(しのくらめぐすり)」と呼ばれ、眼病に良い水として重宝されています。
篠座神社について
篠座神社は、養老(717)元年に修験僧の泰澄大師によって創建された古社です。
泰澄(たいちょう)大師は白山を初めて登拝した人物といわれ、登拝前に大野に立ち寄り、清水が湧き流れる篠座で十日ほど過ごしたといわれています。
登拝後も、再び篠座に戻ってきた泰澄大師。すると「我は大己貴命(オオナムチノミコト)なり。
かかる林泉の勝地であるから、常に心を楽しませて降遊する」と、空からお告げを受けました。
お告げを受けた泰澄大師は、大己貴命のお姿を刻んでご祭神として安置し、そこに祠を一つ建てました。
この祠が、篠座神社の始まりといわれています。
篠座神社は戦乱により一時荒廃しましたが、戦国時代の大野城主・金森長近により再興され、その後も歴代の大野城藩主によって保護を受けてきました。
篠座目薬(しのくらめぐすり)
篠座神社の本殿横には湧水池があり、そこで湧き出る水は、霊泉「篠座目薬」として古くから眼病平癒にご利益があると知られています。
なぜ、眼病平癒にご利益があるかというと…
このような伝説が残されています。
昔むかし、大国主命が竹やぶの中を歩いていたところ、竹の枝で目を突きました。
大国主命はさまざまな治療を行いましたが、目は一向に良くなりませんでした。
そこで『眼病で苦しむ人々のために眼病に効く霊水を湧かしたい』と思い、眼病に効く霊水を湧かしたと伝えられています。
それ以来、多くの人々が篠座神社を訪れ、眼病平癒を願ったといわれています。福井県出身の絵師・菱川師福(ひしかわもろよし:1845年~1941年)も若い頃に不治の眼病に苦しみ、眼病快癒のために篠座神社のお参りに訪れていました。ある時、熱心にお参りをしていると、目の前に大己貴命が現れ、師福の眼病が全快したのだとか。
大変喜んだ師福は、目の前に現れた大己貴命の姿を描き、その絵が篠座神社に奉納されています。
師福のように篠座目薬によって眼病が快癒した人々は耐えず、その記録が篠座神社には数多く残されています。
10月10日の「目の日」には、毎年「眼の祈願祭」が行われます。
眼病平癒のために多くの人が訪れる篠座神社。
「篠座目薬」とうたわれる霊泉のご神水を手ですくい、左目、右目の順でを清めます。
「篠座目薬」で目を清められてみてはいかがでしょうか。
御神徳とご利益
篠座神社には、ご利益を受けられた数多くの人々の話が伝えられています。
これらは、神主さんが教えてくれたストーリーの一部です。
失明の母信仰により全快(失明者の子息の話)
私の母は眼病で方々の医者にかかりましたが遂に失明しました。
目の見えぬばかりでなく、日夜目が痛みますので、子供として母の苦痛を見ている事が出来ません。
何とかして治して上げたいと心配しておりました。
たまたま隣家の人に大野の篠座様が眼を治してくださると聞きましたので、母は私に「お参りして御神水を戴いて来い」との事で早速戴いてまいりまして、母に奨めました。
母も非常に喜んでくれまして、洗眼すると同時に御信仰しました。
私は如何に篠座の神様が尊い神様でも、この眼は治るものではないと思いましたが、母を安心させる為、一心に信仰を奨めました。
それから私は一週間ばかりの後、遠方へ行って帰って来ますと、母は出迎えられ「倅、眼が見える様になったわいな」と嬉し泣きに泣かるるのでした。
私はあまりの母の喜びに共に泣いたのでありましたが、神威の尊きに今更驚きました。
わしの眼は神からもらった眼だ
本年九十二歳の高齢で壮者を凌ぐ元気、夜十一時までも電球の下でどんな密書でも自由に書き又着色される書家がある。
よくまあそんな高齢でそんな密書が書けますねと尋ねると「わしの眼は普通の眼ではない神眼だ神様からもらった眼だからね」と、そのわけを聞けば今より四十年前一夜の中に両眼とも失明したことがある。
種々と医師にみてもらうと、これは手術して眼の上皮をはがねばならぬとの事であった。
そんな事をして果して見えるようになるかしらんと非常に迷った。
すると隣家の人で大野篠座さんのお水をもらって信仰すると治ります。
早速篠座さんをお願いしなさいとの事であった。
そこで早速人を大野に走らせて祈祷をしてもらった。
お水を毎日一心につけたところ四、五日経つと夜明けのように眼が見えだした。その時の嬉しさ有難さといったら、とても他人は想像がつかない。
その後今日に至るまで、この通り神様のお蔭をかがふっているのである・・・。
夫の顔が見たい……参拝者の願いを叶えた霊泉
平成に入ってからの話。若くして重病を患った女性がいた。
その病の影響で、視力が日に日に奪われていった。親は篠座神社の霊泉の事を知り、祈祷の後、御神水を受けられ、その後も参拝を続けられた。
その女性は結婚してまだ間もない頃であったが、無情にも病は進行し、視力も失い、病床で最後を迎えようとしていた。
そんな時、その女性は最後の力を振り絞り、夫に抱きついた。
周りは、声も出さずにベッドを囲んでいただけであったが、夫の名前を呼び、あたかもそこに夫が見えているかのようだったという。
間も無く、女性は息を引き取ったが、
「篠座の神様が最後に目を見えるようにしてくれたんだと思う」
と、その女性の父親が、娘との参拝を懐かしむように語ってくださった。
>アクセス
JR「越前大野」駅より徒歩約20分
「福井」ICより車で約35分
「福井北」ICより車で約40分
「白鳥西」ICより車で約60分
>住所
福井県大野市篠座42-5
>お問い合せ
0779-65-1455
>備考
【拝観料】無料 【参拝時間】自由(受付時間 9:00~17:00)