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目の症状や病気と予防・治療法

心にまで悪影響を及ぼすってホント?眼精疲労につながるVDT症候群とは

眼精疲労に悩む女性

新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやオンライン授業、インターネットでのコミュニケーションなど、パソコンやスマートフォンに触れる時間が増え、目の疲れや肩こりなどに悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

パソコンやスマートフォンといったデジタル機器を長時間使い続けることによる不調は、「VDT症候群」と呼ばれ、目の疲れや肩こりといった身体面だけではなく、メンタル面にも大きな影響を及ぼすといわれています。

「最近ちょっとしたことでイライラしてしまう」「不安になったり、落ち込んだりしやすい」といったメンタルの不調を感じているとしたら、もしかするとデジタル機器の使用時間の増加と関係があるのかもしれません。

この記事では、VDT症候群と目の疲れの関係やメンタルへの影響、おすすめの対策方法などをご紹介します。

VDT症候群と目の疲れの関係とは

パソコンやスマートフォンといった、ディスプレイやキーボードなどで構成されるデジタル機器をVDT機器といいます。VDTとはVisual Display Terminalsの頭文字をとったものです。

「VDT症候群」とは、長時間にわたるVDT機器の使用により引き起こされる目や肩、首などの身体面やメンタル面への悪影響を指し、デジタル機器の普及に伴い問題となっています[1]。

VDT症候群の主な症状として、目の疲れがあげられます。近くの物を見る時は、目の中でカメラのレンズにあたる水晶体という部位の厚さを調整してピントを合わせます。水晶体の厚さは毛様体筋という目の筋肉を伸び縮みさせてコントロールしています。長時間ディスプレイを見続けることにより毛様体筋がこり固まり、その結果、目の疲れやぼやけ、視力低下につながります。

また、ディスプレイをじっと見ているとまばたきの回数が減少し、涙の量が不足するため目の表面が乾燥します。こうなるとドライアイが引き起こされ、角膜もダメージを受けやすくなります[2]。

さらに、疲れ目の症状をそのままにしておくとそのストレスなどにより、頭痛や肩こりなどの症状も引き起こす可能性があります。

VDT症候群がメンタルに及ぼす影響とは

VDT症候群は目の疲れや肩こりといった身体面の影響だけではなく、メンタルにも大きな影響を及ぼします。厚生労働省が平成20年に行った「技術革新と労働に関する実態調査」によると、VDT機器を使用した作業に携わる労働者のうち、34.6%が精神的な疲労やストレスを感じているそうです[3]。

VDT機器を使用している間は、近くの物を見続けているため、目の周辺にある毛様体筋が緊張状態になります。そのため、交感神経が長時間働き続け、自律神経のバランスが崩れ、その結果メンタルにも影響を及ぼすと考えられます[4]。

VDT症候群が引き起こすメンタル不調により引き起こされる主な症状は、下記の通りです。

  • 頭痛
  • 睡眠障害
  • 食欲不振
  • 過食
  • 生理不順
  • 不安感
  • 抑うつ状態 など

特にリモートワークやオンライン授業の場合は、孤独な作業なので、よりメンタル面への影響が出やすくなるかもしれません。もしメンタル面で不調を感じたら、早めに医師に相談するなどの対策をとることをおすすめします。

手軽に取り入れられる、VDT症候群対策をご紹介

心身の不調に深く関係するVDT症候群ですが、こまめに休憩をとったり、作業環境や作業姿勢を見直したりすることで、予防・軽減ができます。

休憩をしっかりとる

作業1時間につき、10~15分ほどの休憩が目安です。休憩時は遠くの景色を見て、近くのディスプレイを見続けることでこり固まった目の筋肉をゆるめましょう。

また肩回しや伸び、軽いストレッチをするのもおすすめです。体を動かすことで筋肉のこりや血流を改善し、疲労回復や肩こり・腰痛を予防できます。

作業環境を整える

ディスプレイが近すぎると目が疲れやすくなるので、画面との距離を40cm以上取ることをおすすめします。また、ドライアイを防ぐためには、視線が少し下向きになるようにディスプレイの位置を調整し、エアコンなどの風が当たらない場所で作業することが大切です。

作業の姿勢

背中を丸めて作業していると、首や肩の負担が大きくなり、肩こりや頭痛の原因となります。椅子に深めに腰かけ、背もたれにしっかり背を当て、姿勢を正して作業するようにしましょう。

ドライアイを防ぐために、意識的にまばたきをして目を潤すのも重要です[5]。

このような対策により、VDT症候群から心身を守ることができます。リモートワークやオンライン授業、インターネットでのコミュニケーションが増えている今だからこそ、しっかり対策して上手にデジタル機器と付き合いましょう!

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
[1]職場のあんぜんサイト:VDT作業[安全衛生キーワード] (mhlw.go.jp)
[2] ~眼精疲労~パソコン作業による疲れ目 (minamitohoku.or.jp)
[3]厚生労働省:結果の概要 (mhlw.go.jp)
[4]スマホやPCで自律神経に不調 目のケアを習慣に|NIKKEI STYLE
[5]【在宅勤務における健康管理】VDT症候群の予防 | 慶應義塾大学保健管理センター (keio.ac.jp)

【ライター:川瀬ゆう】

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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