新緑がみずみずしく、さわやかで気持ちのいい5月。好天の日も増え、早くも夏を思わせるような陽気を感じる頃でもあります。
この時期、気になるのが紫外線です。帽子をかぶったり、日焼け止めを塗ったりと肌の紫外線対策を始める方も多いのではないでしょうか。
ただ、紫外線の影響を受けるのは皮膚だけではありません。私たちの大切な「目」も肌同様、紫外線のダメージを受けています。目が紫外線を浴び続けることによるトラブルにはどんなものがあるのでしょうか。5月のこの時期からできる紫外線対策とあわせてお伝えします。
5月の紫外線量はあなどれない
年間で紫外線量が最も多いのは「夏」ですね。
それでは、具体的に何月に紫外線が多いのかをご存じでしょうか?
気象庁のデータを参考に、2020年の1年間の紫外線(UV)量の推移を見てみると、東京で最も紫外線量が多かったのは8月です。しかし8月には及ばないものの、5月から7月までほぼ同じ量の紫外線が計測されていることがわかります。
また、曇った日も油断できません。薄い雲の場合、紫外線の80%以上が通過してしまうからです(1)。天候や時期にかかわらず、早めの紫外線対策を心がけましょう。
出典: 日最大UVインデックス(解析値)の年間推移グラフ(気象庁ホームページより)※衛星による上空のオゾン量や日照時間などのデータを用いて、解析した各地点の日最大UVインデックスを月別に平均したグラフ
肌のように目も「日に焼ける?」
紫外線の影響でよく知られているのが肌への影響です。一方で、そのダメージは肌だけにとどまりません。紫外線は私たちの「目」にも影響を及ぼしています。
目の角膜や水晶体といった組織は、ある程度は紫外線を吸収し、目を守る働きを持ち合わせています。しかし、目は粘膜がむき出しとなり、外部の影響をダイレクトに受けやすい部位でもあるので、目が急激に紫外線を浴びたときに一時的な症状がでたり、長く浴び続けることで長期的に影響を及ぼす慢性的な症状が起こることがあります。
このような紫外線が関係する目のトラブルや病気として、よく知られる代表的な症状・病気には次のようなものがあります。
白内障
目の水晶体がにごり、網膜まで光が届かなくなることで様々な症状を引き起こす白内障は、加齢が大きな要因のひとつですが、長期的に紫外線を浴び続けることも、リスクのひとつだとされています。視力の低下、かすみなどの症状があり、失明の危険性もあるため白内障が進行した場合は手術が必要になります。
加齢黄斑変性
白内障と同様、加齢が主な要因で目の中の網膜の中心部にある黄斑が老化とともにダメージを受けて異常をきたし、視力や視野の低下を引き起こす病気です。紫外線が網膜に与えるダメージが蓄積することが、加齢黄斑変性の原因になる可能性もあります。
翼状片
白目部分(結膜)が黒目部分(角膜)に三角形状に入りこんでくる疾患です。角膜が引っ張られることで乱視になったり、視力の低下などの症状が起こったりします。屋外で作業している人に見られることが多いため、紫外線の影響が関連していると考えられています。症状が進行すると、視力障害を起こします。
紫外線角膜炎
目が強い紫外線にさらされたときに起こる炎症です。白目の部分(結膜)のが充血、異物感や目の痛みを伴う症状が起こります。晴れた日、雪に反射した紫外線から目のトラブルとなるいわゆる雪目(雪眼炎)が有名です。紫外線角膜炎は24 ~ 48時間で自然に治まることがほとんどです。
目のケアに欠かせない「ルテイン」とは
先ほど紹介した目のトラブルへの対策として「ルテイン」の摂取が大切だといわれています。ルテインは抗酸化作用を持ち、有害な光(紫外線・ブルーライト)や生活習慣の乱れ、ストレスなどによって発生する、老化の原因となる活性酸素を除去したり、ブルーライトを吸収したりと、目を守る役割をはたすからです。
人間の体には目や皮膚、乳房組織、子宮頸部、脳などの組織にルテインが存在していますが、特に目には多くのルテインが存在しています。
私たちが普段見ているのは目の表面に過ぎません。カメラのような構造をしている目では、水晶体がレンズ、網膜がフィルムのような役割を果たしています。この水晶体や網膜にルテインは多く含まれています。
しかし、ルテインは加齢によって減少し、体内で自ら作りだすことはできません。そのため食べ物などで外から摂る必要があるのです。
ルテインは青汁でおなじみのケールやほうれん草、ブロッコリーといった緑黄色野菜に多く含まれており、1日の摂取量は6mg以上が望ましいとされています。
加齢によるルテインの減少によって水晶体や網膜が少しずつダメージを受けることが、白内障や加齢黄斑変性のリスクとなり得るため、紫外線などのダメージから目を守ってくれるルテインの役割が大きいことがわかりますね。
目の健康のために紫外線量が多くなる5月から積極的にルテインを摂って目をケアすることをおすすめします。
早めの紫外線対策で目を守ろう
帽子や日傘、日焼け止めなどを上手に使うことはもちろん、紫外線の強い時間をなるべく避けるような心がけも大切です。太陽から直接当たる紫外線だけでなく、反射する光(反射光)や空気中に散る光(散乱光)にも注意しましょう。
特にむき出しになっている目を外側から守るため、紫外線をカットする機能を持つめがねやサングラスなどを用いることも必要です。
内側からは、ルテインが含まれる食べ物を摂取するなど食生活の見直しからスタートするといいでしょう。
5月から目の紫外線対策を意識することで、長期にわたっての目のダメージを予防しましょう。
※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
【参考】
1.環境省『紫外線環境保健マニュアル2020』
・公益社団法人 日本眼科医会
・逓信病院HP
・メガネスーパーHP
・おおや眼科クリニック
・サプリメント素材図鑑
・医療機関サプリメント情報サイト
ライター:本山ことま