今回の内容は、おうち時間と目の健康、そして光ダメージから目を守るための研究結果についてご紹介する記事の後編となります。後編では、光ダメージに対して目を内側から守る方法と光ダメージに対する様々な研究結果をご紹介します。ぜひとも前編をご覧になった後でお読みください!
光ダメージから目を守る抗酸化物質とは?
ブルーライトが目に悪いということは前編でご紹介させていただきました。ではブルーライトを浴びた時には目や体はどのような状態になってしまうのでしょうか?
ブルーライトなどの高いエネルギーを持つ光を浴びると、目や体の中では活性酸素(ROS)が発生します[1]。過剰な活性酸素は細胞やDNA等にダメージを与え、眼精疲労や加齢黄斑変性といった目の病気をはじめ、老化やがん、生活習慣病を引き起こす要因となります[2]。
この活性酸素を取り除くことのできる物質が”抗酸化物質”です!
身の回りの抗酸化物質
目を内側から守るには抗酸化物質の摂取が有効です。それでは身の回りにある抗酸化物質を食品とともに紹介していきます!
- ビタミンA(またはβ-カロテン)
レバー、うなぎ、人参、ほうれんそう など
- ビタミンC
赤ピーマン、ブロッコリー、レモン、じゃがいも など
- ビタミンE
うなぎ、モロヘイヤ、かぼちゃ、アーモンド など
- ルテイン
ほうれんそう、小松菜、ブロッコリー、人参 など
- アスタキサンチン
鮭、エビ、カニ、キンメダイ など
- アントシアニン
ブルーベリー(ビルベリー)、カシス、インゲンマメ、なす など
- レスベラトロール
サンタベリー(リンゴンベリー)、赤ワイン、ピーナッツの渋皮、いちご など
※その他の抗酸化物質を知りたい方は以下のサイトで「抗酸化物質」とキーワード検索してください。
▼『わかさの秘密』
光ダメージと抗酸化物質の研究結果
ここからは、実際の光ダメージに対する抗酸化物質の効果について、わかさ生活が過去に行った研究結果をご紹介します!
まずはわかさ生活が岐阜薬科大学と共同で行った研究です[3]。
この研究は、ブルーライトの影響に対するビルベリーとリンゴンベリーの効果を調べた研究で、実験にはマウス由来の視細胞を使用しました。
細胞を下図のようにa, b, cの3群に分け、c群にビルベリーエキスを添加しました。その後、bとc群にブルーライトを照射し、6時間後に全ての群で活性酸素の産生量を測定しました。
同様の手順で、リンゴンベリーエキスに関しても同じ添加量で実験を行いました。
その結果、ブルーライトの照射によって活性酸素が増えたb群と比較し、ビルベリーエキスを添加したc群では活性酸素の減少が見られました。リンゴンベリーエキス添加の実験においても同様の結果が得られました。
以上から、ビルベリーとリンゴンベリーにはブルーライトの照射によって発生した活性酸素を抑える可能性が示されました。
続いて紹介するのは、わかさ生活が慶應義塾大学と共同で行った研究です[4]。この研究では、過剰な光刺激に対するルテインの効果を調べています。実験動物にはマウスを使用しました。
マウスを下図のようにa, b, cの3群に分け、bとc群には過剰な光を3時間照射しました。照射してから12時間後、c群にルテインエキスを注射し、再び12時間置きました。その後、3群全てのマウスの眼球から活性酸素のレベルを測定しました。
その結果、過剰な光の照射によって活性酸素レベルが上昇したb群と比較し、ルテインエキスを添加した群では活性酸素レベルが低い結果となりました。
以上から、ルテインには過剰な光の照射によって発生した活性酸素を抑える可能性が示されました。
デジタル機器使用に対するビルベリーの効果
それではデジタル機器を使用した際の抗酸化物質の効果についてはどうなのでしょうか?
紹介する研究は、わかさ生活が慶應義塾大学と共同で行った研究になります[5]。この研究は、パソコンなどのVDT作業時(※)の目の疲労に対するビルベリーの効果を調べた研究です。実験は病気の無い健康な人を対象に行いました。
下図のように2群に分け、一方には有効成分の無いカプセル(プラセボ)、もう一方にはビルベリーエキス160mg配合のカプセルを毎日朝食後に3粒摂取させました。摂取4週間後、VDT作業を120分間行わせました。その際、VDT作業の前後で目の疲労に関する項目の程度を数値で記入してもらい(VASアンケート)、VDT負荷前後の数値を比較検討しました。
※VDT作業…パソコンなどのディスプレイを持つ画面表示装置を用いた作業のこと。
VDTはVisual Display Terminalsの頭文字を指す[6]。
アンケートの結果、ビルベリーエキス摂取群において「目の疲れ」「目の痛み」の数値が低い結果となりました。
以上から、ビルベリーはVDT作業時の目の疲労を軽減するのに有効である可能性が示されました。
抗酸化作用のあるビルベリーやルテインなどの摂取が、光による目のダメージに役立つ可能性がありますね。
まとめ
おうち時間と目の健康、そして光ダメージから目を守るための研究結果について前後編と2回に分けてご紹介しました。特に後編では、光ダメージから目を守るためには抗酸化物質が有効であることが分かりました。またビルベリーをはじめとした抗酸化物質の有効性に関するわかさ生活の研究結果も、ぜひ参考にしてください。
前編でご紹介したブルーライトカットメガネや眼トレ(※)に加え、抗酸化物質を摂取できる食品やサプリメントも取り入れ、デジタル機器による光ダメージから目を守っていきましょう!
■おうち時間は目の健康に注意!光ダメージから目の健康を守るための研究結果を解説!(前編)はこちら
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『測るだけ眼トレブック』
※本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
[参考]
1: Tao rt al. (2019) Mitochondria as Potential Targets and Initiators of the Blue Light Hazard to the Retina. Oxid Med Cell Longev 2019: 6435364.
2: 活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
3: Ogawa et al. (2014) Protective effects of bilberry and lingonberry extracts against blue light-emitting diode light-induced retinal photoreceptor cell damage in vitro. BMC Complement Altern Med 14: 120.
4: Kamoshita et al. (2016) Lutein acts via multiple antioxidant pathways in the photo-stressed retina. Sci Rep 6: 30226.
5: Ozawa et al. (2015) Bilberry extract supplementation for preventing eye fatigue in video display terminal workers. J Nutr Health aging 19(5): 548-54.
6: 職場のあんぜんサイト:VDT作業[安全衛生キーワード] https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo30_1.html