文字の
サイズ

目の症状や病気と予防・治療法

花粉症になるのはなぜ?花粉症になる人ならない人

花粉症で目のかゆみに悩む女性

少しずつ寒さが緩み、暖かい日差しが嬉しくなる3月。しかし花粉症の人にとっては少し気が重くなる季節かもしれません。今や国民病とも呼ばれる「花粉症」。症状を発症する人、しない人、何が違うのでしょうか?何に気をつければ良いのでしょうか?

目に症状が出やすいわけ

目や鼻に主な症状が出る花粉症。
目の結膜は直接外界に接しており、花粉に触れやすいうえに、結膜表面を覆う涙液によって花粉の成分が溶け出すことで、目のかゆみ、涙目、充血などのアレルギー反応が現れやすい部位といわれています。

また、日本眼科医会によると、花粉は目に直接触れる以外に鼻を通して吸い込むことによっても体に入り、アレルギー反応の結果、目に症状が出ることもあるのだとか。そのうえ、まれに喘息やアトピーの症状を併発することもあるようなので、花粉症以外のアレルギーがある方はますます油断ができません。

花粉症の主な症状

  • 目の症状
    激しいかゆみ、結膜充血、涙目など
  • 鼻の症状
    くしゃみ:外から入った異物を外に出そうとする防御反射。連続して何度も起こるのが特徴
    水様性鼻汁(水性鼻漏):鼻水は水様性で、いくらかんでも出てきます
    鼻閉(鼻づまり):鼻粘膜が腫脹、血流悪化によって起こります

花粉症は、1960年にブタクサ花粉症、次いでスギ花粉症、イネの花粉症などが報告され、その後花粉症は年々増加傾向にあると報告されています。
平成28年に東京都内3区市を対象とした調査と花粉症検診の結果から推計したスギ花粉症推定有病率は約48.8%であり、10年前の調査と比較して、どの年齢層も増加しています。

花粉症を引き起こす植物は、日本では約50種類が報告されていますが、代表的なものが今の季節に飛散量が多くなるスギで、全体の約70%を占めると推察されています。

樹木の花粉では他にも、ヒノキ、シラカンバ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、クヌギがあります。また、草木ではカモガヤなどのイネ科、ブタクサ、ヨモギなどのキク科などがあり、自分がどんな季節に症状が出るかで原因となる花粉を推定することができます。

花粉症になる人、ならない人の違い

花粉症になるメカニズム

花粉症は、体の免疫反応が花粉に過剰に反応して起こるアレルギー疾患です。
目や鼻では、侵入してきた花粉(抗原)を異物と判断し、これを無害化しようと体内で抗体(lgE抗体)を作ります。そして、再度花粉が体内に侵入した時に、花粉を排除しようと反応(抗原抗体反応)します。この時、花粉を排除しようとして現れるのが、目のかゆみや、流涙、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状です。

花粉症になりやすい人

しかし、同じように花粉が飛散するところで、同じように生活していても、花粉症になる人とならない人がいます。その違いの一つが、遺伝による体質的なことだといわれています。
もともと花粉症以外のアレルギー疾患を持っている人や、家族が何らかのアレルギー疾患を持っている人は花粉症になりやすいと考えられています。

また、長期間にわたって少しずつ花粉の影響を受け続けたり、汚れた空気の環境で長年生活している人は、鼻の粘膜の感受性が高まって花粉症になりやすいといわれています。

花粉症の発症の要因

さらに、花粉症の症状が軽症ですむか、重症化するかは、目や鼻の粘膜に付着した花粉の量や体の中にできる抗体の量、目や鼻の粘膜の過敏性に左右されます。もし粘膜が過敏になっていれば、花粉が少なくても症状が現れるといわれています。

目や鼻の粘膜はとてもデリケートで、ストレスや睡眠不足、疲労などの影響を受けやすく、粘膜の働きが鈍くなると異物を排除する機能が損なわれ花粉の侵入が容易になることが考えられます。

つまり、花粉症の発症は、花粉の飛散量の問題だけではなく、もともとの体質や環境、ストレスや睡眠不足など生活習慣といった、いくつかの要因が重なって発症するといえそうです。

花粉症の治療法

気をつけていても一度発症すると、症状の違いはあれ、毎年対策が必要になる花粉症。花粉症の治療法には大きく分けて、症状を軽減する対症療法と、根本的に治す根治療法があります。

対症療法

  • 点眼薬、点鼻薬などによる局所療法
  • 内服薬などによる全身療法
  • レーザーなどによる手術療法

目や鼻の炎症を抑える点眼薬や点鼻薬。アレルギー症状の直接的な原因である化学伝達物質「ヒスタミン」の作用を抑え、アレルギー症状を和らげる薬。粘膜の腫れによって起こる鼻づまりなどを解消するレーザー治療があります。

根治療法

  • 原因抗原(花粉など)の除去と回避

マスクや帽子の着用、玄関での花粉の排除など、花粉を体に取り込まないようにすること。誰でもすぐに対応できる方法です。

  • 減感作療法(抗原特異的免疫療法)

花粉症を根本的に治せる治療法です。
「舌下免疫療法」など、アレルゲンに体を慣らして症状を和らげ、根本的な体質を改善するものがあります。ただし、花粉の飛散が始まる数ヵ月前から治療を始め、ある程度の期間続ける必要があります。

他にも、「ペプチド免疫療法」「アジュバント免疫療法」「LUNP(DNA)免疫療法」など、より負担の少ない治療法の研究が進んでいます。

花粉症が治るものになる日は、意外と遠くないのかもしれません。

症状が出る前とセルフケアが効果的

花粉症は、症状が出る前から対策をすると効果的です。

可能な限り、一日の中で飛散量の多くなる12時~18時ころを避けて外出する。外出時には、メガネやマスクで目や鼻の粘膜に花粉が侵入しないように防ぐなど工夫することが大切です。

花粉症用のメガネも販売されていますが、通常のメガネだけでも目に入る花粉量はしていない時の半分になるそうなので試してみてはいかがでしょうか。

日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕先生によると、結膜上の花粉数の比較において、メガネなしの時791個に対し、通常のメガネ着用では460個、花粉症用のメガネをした時は280個と、明らかに差がありました。

また、花粉症の季節にはコンタクトレンズを使用している人は、花粉がレンズと結膜の間で擦れるので、普段コンタクトレンズを使っている人もこの時期だけはメガネが良いようです。

近年、伐採される割合が減り、花粉を多くつける樹齢の高い木が多くなるため花粉の飛散量が増加するといわれています。花粉症の症状がある人はもちろん、今まで症状のなかった人も、どんなきっかけで発症するかわかりません。毎日を快適に過ごすためにも、生活習慣に気をつけながら、なるべく花粉と触れないように対策をして目を守りましょう!

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
・花粉症環境保健マニュアル 環境省
・日本臨床内科医会「花粉症」
・平成30年度版 花粉症一口メモ 東京都健康安全研究センター
・花粉症患者実態調査報告書 東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/18/14.html
・花粉症の疫学と治療そしてセルフケア 日本医科大学耳鼻咽喉科 大久保公裕
・花粉症Q&A 平成22年度 花粉症対策 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html
・的確な花粉症牡の治療のために第2版 日本医科大学耳鼻咽喉科 大久保公裕

この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

こちらの記事もおすすめ