新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークやおうち時間が増加しています。皆さんは目の疲れを感じることが多くなってはいませんか?今回は、おうち時間が増えたことで注意したいデジタル機器の使い方と目の健康、さらには光ダメージとビルベリーに関する研究結果を前編・後編に分けてご紹介します!
目を使う機会がますます増加!
最近では、働き方改革によるテレワーク(在宅勤務)の増加や新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による外出自粛の影響などにより、おうち時間が急増しています。実際、新型コロナウイルスが流行し始めた2020年の3月に比べ、同年4月ではテレワーク実施者が2.1倍に増加していました[1]。
このコロナ禍におけるステイホーム中、皆さんはどうしていることが多いですか?テレワークであればパソコン作業、またテレビやスマホで動画を見ることが多いのではないかと思います。このデジタル機器使用時間の増加が、目の健康状態に悪影響を与えているのです。
さらに、大人だけではなく子どもの目も悪影響を受けています。2020年の秋に行われた調査によると、同年1月と比べ約55%の家庭で子どものデジタル機器への接触時間が長くなったと回答しています。また、子どもを持つ親の5人に1人は子どもの視力低下を感じていることが分かりました[2]。
このように、大人も子どもも目を使う機会が増えているため、目が悪くなるリスクが高まっています。
パソコンやスマホはどうして目に悪い?
パソコンやスマホを使う機会が増加していることは分かりましたが、そもそもどうして目に悪いのでしょうか?目に悪いといわれている原因としては、以下の項目が考えられています。
- 近くで画面を見続けている
- ブルーライト(※)を浴びている
- 映像に集中してまばたきが減っている
※ブルーライト…可視光線(人の目で見ることのできる光)の中で最も強いエネルギーを持ち、角膜や水晶体で吸収されず網膜まで届く。パソコンやスマホの画面、LED照明、太陽光にも含まれる。[3]
気を付けたい目の病気
では、具体的にどのようなメカニズムで目が悪くなるのか、関連する目の病気とともに解説します。
- 近視
人は普段、遠くのものを見ているときには、毛様体筋がリラックスし水晶体が薄くなっています(下図)。しかし、近くのものを見るときは、ピントを合わせるために毛様体筋を緊張させて水晶体を厚くする必要があります。パソコンやスマホといった”近く”の画面を見る時間が長くなると、ピント調整が上手くいかなくなり、近視につながる可能性があります。
実際、過去の様々な研究データを元に推計した近視患者の数は、2000年では14億600万例であるのに対し、2050年では47億5800万例と全世界人口の約半数を占めると推計されており、驚きの研究結果が明らかとなっています[4, 5]
- 眼精疲労
ブルーライトは他の色と比べて光の波が小さく細かい(波長が短い)ため、空気中のちり・ほこりによって散乱してしまいます。その影響がパソコンやスマホの画面のブレやチラつきとして現れるので、私たちの目はピントを合わせようと一生懸命に働きます。その結果、毛様体筋という目の筋肉が疲れてしまうのです[6]。 - ドライアイ
パソコンやスマホ、テレビゲームの時間が長くなると画面を集中して見続けることが多くなります。これによってまばたきの回数が減り、目が乾燥してしまうことがドライアイにつながります[7]。 - 加齢黄斑変性症
ブルーライトは紫外線の次に高いエネルギーを持っています。そのため目への刺激も高いため、網膜や黄斑部にダメージを与えてしまいます[6]。
目の健康はどう気をつけたら良いの?
目のリスクについては分かってきました。しかし、スマホやパソコンの使用を止めることはできませんよね。では、少しでも目を良くするためにはどんな「目のケア」をしていけば良いのでしょうか?
例えば、デジタル機器は必ず明るい部屋で使用しましょう。特にパソコンを使うときは、モニターまでの距離を40cm以上離し、モニターの上端は目線を真っすぐにしたとき視線のやや下になるように設置することを心がけましょう。そして、パソコン作業中は30分または1時間に1回は10分程度の休憩を取ることをおすすめします。
また、パソコンやスマホの画面をじっと見続けるとまばたきの回数が減ってしまうので、意識してまばたきをすると良いですよ。[3]
ブルーライトに対しては、ブルーライトをカットする商品が効果的です。最近では、紫外線や太陽光をカットするサングラスだけではなく、ブルーライトの光を軽減させるパソコン用メガネや液晶モニター用フィルムの販売もあります。外出時にもブルーライトカットレンズを備えたメガネを着用することで、地面や建物、車のガラスの反射光からも目を守ることが可能です。
またブルーライトは黄色や橙色に吸収される性質がありますので、サングラスを選ぶ際はブルーライトを吸収してくれるようなレンズの色にすることも大事です。[6]
他には、ストレッチなどの適度な運動によって目の血流を良くしたり、眼トレ(※)をして楽しみながら目の筋肉をほぐしてピント調節ができる目のトレーニングもおすすめです[3]!
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まとめ
前編ではデジタル機器の使用が増えたことによる目のリスクと、気を付けたい目の病気を解説しました。さらに、日常生活で行える「目のケア」についてデジタル機器の使用法もご紹介しました。また、ブルーライトをカットできるものも積極的に活用して、目を外側から守っていきましょう。
次回後編では、目を内側から守る方法について、おすすめの食品やサプリメント成分をご紹介していきます。さらに、ブルーライトや光障害に対するビルベリーの研究結果もわかりやすく解説しますので、どうぞ楽しみにしていてください!
■おうち時間は目の健康に注意!光ダメージから目の健康を守るための研究結果を解説!(後編)はこちら
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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
[参考]
1:「令和2年版情報通信白書」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd123210.html
2: コロナ禍における子どもの目の調査 (2020年 ロート製薬調べ)
3: わかさ生活 (2020) 眼科専門医と考えた「測るだけ眼トレ」ブック, アスコム
4: 若々 2021年3月号, ミライカナイ
5: Holden et al. (2016) Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050. Ophthalmology 123(5): 1036-42.
6: みらい研究所 目のブルーライト対策
7: みらい研究所 ドライアイ