目の症状や病気と予防・治療法

ブルーベリーが目に良いのは嘘か本当か

ブルーベリーが目に良いという情報をCMや雑誌、そして知人から一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。でも実際のところ「どんな証拠があるの?」「どこで知ったの?」と誰かに聞かれたら、あいまいにしか答えられないかもしれません。

ブルーベリーが目を良くするのかどうかということを調べると「ブルーベリーが目に効果があるという根拠はない、だからデマだ」と書かれている記事もあります。こういった情報を読むと「やっぱり迷信かな」と思ってしまうかもしれません。はたして実際のところはどうなのか? 研究論文などの科学的根拠をもとに検証してみたいと思います。

ブルーベリーが目に良いのは嘘か本当か

ブルーベリーが目にとって良いのかどうかの研究結果を探しても、情報はあまり見つからないでしょう。なぜならブルーベリーは種類がとても多いため「ブルーベリーを食べることで目に良い」といった研究がこれまでほとんどされてきていないからです。

ブルーベリーは世界に150種類以上あり、それぞれの品種によって成分や栄養素も違うため、すべてのブルーベリーをひとまとめにすることができず、種類ごとに研究しなければなりません。

「研究結果がないのであれば、やっぱりブルーベリーが目に良いなんて嘘」と思うかもしれませんが、ブルーベリーに含まれている「アントシアニン」が目に良いという研究はされています。

先ほども述べたようにブルーベリーの種類によって「アントシアニン」の含有量も変わってくるのですが、数多くのブルーベリーの中で北欧野生種ビルベリーはアントシアニンの含有量に秀でています。ビルベリーに含まれるアントシアン量は、一般栽培種のブルーベリーの約5倍ともいわれています。

アントシアニンと目の関係を研究するために、ほとんどの場合ビルベリーが使用されているということが注目され、ビルベリーエキスを原材料としたブルーベリーサプリは数多く存在します。

現在までに分かっていること
・ブルーベリー(ビルベリー)に含まれるアントシアニンと目の研究は進められていて、アントシアニンの働きを示す研究結果が出ている。そのため、サプリメントの原料として商品化されることが多い。

・「ブルーベリーが目に良いのか」という問いに断定的に答えられる科学的根拠はないが、「ブルーベリーに含まれるアントシアニンが目に良い」という研究は進んでいる。

ブルーベリーが目に良いといわれるようになったきっかけは?

「ブルーベリーが目に良いのでは?」と注目されたきっかけの一つに第二次世界大戦時のイギリスのパイロットの話があります。

イギリス空軍のあるパイロットが「ブルーベリージャムが大好きで大量に食べていたおかげで、暗闇でも敵の飛行機が良く見えた」と証言したとのことです。ただこの発言の信ぴょう性は確認されておらず、「実はブルーベリーではなくニンジンだった」とか「情報漏洩を防ぐためのデマだった」といった意見もあり、本当のところはよくわかっていないようです。

しかし、第二次世界大戦終了後1960年代ごろからブルーベリーと目の関係についての研究が始まっているという、歴史上の事実は残っています。

ブルーベリーの成分がもたらす視力回復の効果

ブルーベリーが持つ成分と目の関係に関して研究が進むことで、ブルーベリーは「視細胞に働きかける」、「目の健康維持に役立つ」、「病気を抑制する」などの可能性が出てきました。しかし、「目に良い」ということと「視力が回復する」ということは同じではありません。

もちろんそういった期待を抱きたくなりますが、現段階においては「視力回復に効果があった」といった研究結果は出ていません。しかしながら、ブルーベリーの主成分ともいえるアントシアニンは目に良い働きをする可能性が報告されています。

ブルーベリーに含まれるアントシアニンについて

では、アントシアニンとは一体何なのでしょうか。アントシアニンとは、植物が紫外線などの有害な光から実(身)を守るため、実に蓄えられる青紫色の天然色素で、ファイトケミカルといわれます。ポリフェノールの一種であり、ブルーベリーをはじめナスや紫いもにも多く含まれています。

自然界には様々な種類のアントシアニンが存在しており、現在までに発見された種類は500以上にものぼるといわれています。アントシアニンは様々な条件(pH、温度、濃度、金属イオン、酵素など)によって、色調や構造に微妙な変化が現れます。

アントシアンの効果を調べる研究

今から50年以上も前の1968年に発表された論文には、アントシアニンがロドプシンの再合成を促進する働きがあることが記されています(※1)。

ロドプシンは、網膜に存在する暗いところでの視力を担う桿体細胞(かんたいさいぼう)の中にある色素体です。光の信号を受けることでロドプシンは瞬時に分解され、その後ロドプシンはすぐに再合成されます。光の情報を電気信号に変えます。

しかし目を酷使すると、ロドプシンの再合成が追い付かなくなってしまいます。薄暗いところでの作業で見えにくくなってきたと感じるのは、ロドプシンの再合成が潤滑に行われていないためです。前述の論文の中には、アントシアンによってロドプシンの再合成が促進するという結果が載ってます。

このことを考えると、イギリスのパイロットが言った言葉もあながち間違っていないのかもしれません。

「アントシアニンが目に良い成分であるのでは?」と注目されるようになってから、ビルベリーエキスを使用し、アントシアニンと目との関係に関する様々な研究が行われてきました。

この記事ではその中から国内で行われた2つの研究を紹介します。

1つ目は、網膜神経細胞にダメージを与えたモデルマウスにビルベリーエキスを投与したところ、ダメージの軽減が見られました。このことによって、ビルベリーエキスは網膜神経細胞を保護する働きがあることが示されました(※2)。

2つ目は、現在日本の中途失明原因の上位に挙がっている糖尿病網膜症や加齢黄斑変性に関するものです。

どちらも「血管新生」という症状がみられる疾患ですが、この症状を発症するマウスモデルを使って実験が行われました。マウスに事前にビルベリーエキスを投与したところ、血管新生の抑制が確認されました。さらに細胞実験においては、新たな血管新生を抑制する作用も見られました(※3)。

アントシアニンだけではないブルーベリーの成分

ブルーベリーはスーパーフードともいわれます。その理由は、アントシアニン以外にも有用な成分を保有しているからです。

  • ビタミンA
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • 食物繊維
  • 亜鉛
  • マンガン

このように目だけではなく体全体に良い栄養素をもち、特に抗酸化作用に優れている果実であることがわかります。

スマホやパソコンによる目の疲れにも効果がある

スマホやパソコンを日常的に使う生活が浸透している現代において、目の疲れは大きな問題となっています。2015年に現在機能性表示食品制度が始まったことも相まって、VDT作業(パソコンやスマホなどディスプレイをもつ機器を使って作業すること)による目の疲れとビルベリーの関係についての研究も増えてきています。

例えば、一般のヒトに対しビルベリーエキスを1日160mg、4週間摂取させるという研究では、VDT作業によって起こる「目が痛い」「かすむ」といった一過性の自覚症状を感じにくくなったと報告されています(※4)。また、ビルベリーエキスを1日480mg、12週間摂取させた研究でも、VDT負荷が原因の慢性、および急性のいずれかの眼精疲労自覚症状に対して、軽減が示唆された報告がされています(※5)。

目の疲れに関しては実験装置などで数値化することが難しいため、被験者のアンケート結果がすべてになりますが、いくつかの研究によりビルベリー由来のアントシアニンが、VDT作業による目の疲れに有効であることが報告されています。

まとめ

ブルーベリーの一種である北欧産野生種ビルベリーに多く含まれるアントシアニンが「目に良い働きをする」という基礎研究は数多く行われています。またヒトによる臨床試験によって、VDT作業時の目の疲れに対して抗酸化作用を発揮する可能性があることもわかってきています。

「ブルーベリーが目に良いのは嘘か本当か」という問いに対しては、「ブルーベリーに含まれるアントシアニンは目に良い」と答えることができます。しかし、現時点でもメカニズムについては不明なところもあり、ヒト臨床試験やさらなる研究でこれから新たな発見があることが期待されます。

 

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※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考】
※1 : Bastide P, Rouher F, Tronche P. [Rhodopsin and anthocyanosides. Apropos of various experimental facts]
※2 :Matsunaga N, Imai S, Inokuchi Y, Shimazawa M, Yokota S, Araki Y, Hara H.Bilberry and its main constituents have neuroprotective effects against retinalneuronal damage in vitro and in vivo. Mol Nutr Food Res. ;53(7):869-77.2009.
※3 : Matsunaga N, Chikaraishi Y, Shimazawa M, Yokota S, Hara H.Vaccinium myrtillus (Bilberry) Extracts Reduce Angiogenesis In Vitro and In Vivo.Evid Based Complement Alternat Med. 2007.
※4 :VDT作業負荷による眼精疲労自覚症状 および調節機能障害に対するビルべリー果実由来アントシアニン含有食品の保護的効果
※5 : ビデオディスプレイ端末光への曝露に起因する眼精疲労自覚症状に対するビルベリー果実抽出物含有食品の保護的効果

【画像】
udra11,LightField Studios / Shutterstock

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この記事を書いた人

大江 絵美

薬学博士

わかさ生活研究員。岐阜薬科大学薬効解析学研究室に4年間出向し、目のことやビルベリーの健康効果の研究を行ってきました。目のこと、サプリメントの素材について新しい研究や調査を行っています。

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