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目の症状や病気と予防・治療法

その頭痛「眼精疲労」が原因かも!?眼だけで終わらない疲れの影響

眼精疲労からの頭痛に苦しむ女性の画像

「夕方になると目がかすんで見えにくくなる」「ゴロゴロした感じがする」「目が乾く」など目の不快感だけでなく、「肩こり」や「頭痛」などの症状が重なることはありませんか。単なる目の疲れだと思って放っておくと、いずれ目だけではなく体の各部に不調をもたらすことになりかねません。

一見、目とは関係ないような体の症状にまで及ぶ「眼精疲労」についてメカニズムから対処法までを、記事を監修していただいた坪井眼科医院院長である坪井隆先生に教えていただきました。


監修者プロフィール
坪井隆(つぼい  たかし)
坪井眼科医院院長
1972年東京医科大学卒業後、広島大学眼科学教室に入局。1980年広島市に坪井眼科医院を開院。1994年日本初となる「眼精疲労治療室」を開設。目の疲れやかすみ、肩こり、頭痛などに悩む眼精疲労患者を治療する。各地に「坪井式メソッド」を取り入れる眼精疲労治療室が広がっている。
坪井眼科医院HP


眼精疲労って何?眼が疲れていることと何が違うの?

毎日、仕事やプライベートでパソコンやスマートフォンなど機器類を使うことが多く、目が疲れやすくなっている現代。一時的な目の疲れは「眼疲労」といわれ、休憩や睡眠など目を休めるとその疲れは自然ととれて体への悪影響も伴わないものです。しかし「眼精疲労」メカニズム的には「眼疲労=目の疲れ」と同じ経緯であっても、病的なさまざまな症状を伴い、その状態が繰り返され、体の部位への悪い影響が続くものをいいます。

「目の疲れ=眼疲労」というのは、近くを見る時間が長くなると起こることが多いのは皆さんも経験されたことがあると思います。 目には体の他の部位と同じように筋肉があり、それによって目は動きます。ところが長時間連続して使うと筋肉は疲労し、凝り固まってしまうのです。

筋肉を動かすエネルギー(酸素と栄養素)が不足し、筋肉内には疲労を促す乳酸が増えていきます。ピントを調節する筋肉である毛様体筋は近くに視点を固定するために緊張状態が続き、一種の筋肉痛を引き起こします。

単なる疲れではすまされない眼精疲労

目が疲れるメカニズムがわかれば、それを解消することにより疲労は軽減されるはずです。目を休めたり、目の周りをほぐしたり、遠くを見ることで疲れをとってやれば良いのですが、ついつい時間を忘れてスマートフォンを見たり、休憩も取らずにパソコンで仕事をしたり…と思い当たる方も多いのでは。

この疲れた状態を続けてしまうと、少し休んだだけでは改善しない「眼精疲労」に繋がるのです。 「眼精疲労」が厄介なのは、不快な症状が目だけで済まないこと。原因となる環境を変えない限り、自然と良くなることはない点です。

眼精疲労からくる症状とは

眼精疲労からくる目の症状は、ぼやけ・かすみなどの視力低下、目の痛みや充血など。また体の症状としては、「肩こり」や「首のコリ」「頭痛」「倦怠感」や「吐き気」にまで及ぶこともあります。
パソコンやスマートフォンなどを使っている時に猫背になり、姿勢の悪さから肩こりや首のコリに繋がることもあります。そのうえ、目は視神経を介して首の付け根の筋肉である後頭下筋と繋がっているため、目を使いすぎると、この後頭下筋もガチガチに硬くなってしまい首の痛みや肩こりになるといわれています

眼精疲労の原因

そんな眼精疲労の原因となると、非常に多岐にわたるようです。度の合わない眼鏡を使用するなどの矯正不足や、老眼の初期に見づらさを我慢して手元の作業をしている方も要注意です。

また、緑内障や白内障でも眼精疲労になることがあるようです。他にも全身疾患、心因性、環境によるものなどがあります。しかし、やはり最近はパソコンやスマートフォンなど機器類を使用する(VDT作業)が増えたことが原因となる眼精疲労が増えています。

そもそもなぜこんなに眼は疲れているのか

今、私たちの状況といえば、家にテレビがあり、仕事や学校でPCを使い、仕事やプライベートではスマートフォンを使うことが当たり前のようになっています。 さらにその機器がテレビやパソコンからスマートフォンという小さなものになり、手軽になった分、使用時間、つまり目を使う時間が長くなる傾向にあり目の負担は大きくなっているわけです。

眼の疲れをとる方法

目に良くないと分かっていても、パソコンやスマートフォンが生活から切り離せないものになっている現代。ならば「疲れ」を溜めないようにして「眼精疲労」にならないようにケアすることが大事になってきます。眼精疲労の原因は、目や全身の病気、環境など多岐にわたるので、原因に対して直接アプローチすることが必要です。

1.度の合っていないメガネやコンタクトレンズを使っているのであれば、正しく調節したものを使って無理なくピントが合わせられるようにしましょう。老眼の方も、自己判断で簡易的なリーディンググラス(老眼鏡)を使うよりも、検査を受けて調節してもらったものを使用するだけで目に対するストレスが変わってくるでしょう。

2.パソコンやスマートフォンは1時間連続して使ったら15分間は目を休ませる。休憩が無理なら、パソコンから離れる作業をはさんだり、窓の外をぼんやり見るなど目を休ませる工夫をしましょう。

3.一日の終わりには、目の周りを温めて凝り固まった目の筋肉をほぐしましょう。温めることで血行がよくなり目に必要な酸素や栄養がいきわたります。ぜひ試してみてください。

眼精疲労を放っておくと、目以外に体にも影響が及びます。視力の問題だけでなく、健康に生活するためにもその日の疲れはその日のうちにとるように、目のケアも習慣にしていきましょう

本記事は2020年8月16日に更新しました

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

 

この記事を書いた人

戸田 友里

わかさ生活プロアドバイザー。一人でも多くの人に目の健康に関する正しい情報を伝えたいと、Webや紙面で発信する活動を行っています。ビジョントレーニング指導者1級。

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