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目の症状や病気と予防・治療法

目のブルーライト対策

身の周りに存在する「光」

私たちが毎日の暮らしの中で、物を見るのに欠かすことのできないもの、それは「光」です。しかし一言で「光」と言っても、紫外線や赤外線、可視光線と呼ばれる赤、橙、黄、緑、青、水色、紫色の光など、実に様々な光が存在しています。近年は、その中でも青色の光(ブルーライト)が目や体に与える影響に注目が集まっています。

ブルーライトとはどんな光なの?

私たちの目は1日中光を浴びている

一昔前までは日の出と共に活動をはじめ、日の入りと共に寝る暮らしをしていた私たちの生活は、光の技術の発達とともに大変豊かなものになりました。今や私たちの生活の中には様々な光があふれています。太陽の光、室内照明、テレビ、パソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯ゲーム機などの液晶モニター、そして24時間営業しているスーパーやコンビニエンスストアの明かりなど、光のない場所はほとんどありません。現代社会で暮らす私たちは、朝から夜遅くまで過剰な光に目がさらされた生活を送っていると言っても過言ではありません。そのように豊富に存在する光ですが、その大半が実は複数の光で構成されていることをご存じでしょうか?

身近な光に含まれるブルーライト

日中は空高くに白く輝く太陽光も、実は赤、橙、黄、緑、青、水色、紫色などの様々な色の光が合わさって白色に見えています。同じように、室内の照明灯として一般に広く用いられる蛍光灯は、人工的に青、緑、赤色の光を重ね合わせることで白色光を作りだしています。
一方で、エネルギー効率が良いということで近年増えつつある白色LEDライトですが、青と黄色の光とを掛け合わせることで白色を作りだしています。そのため、LEDライトからはブルーライトが多く発せられます。

LEDの普及とともにブルーライトも増えていく!?

現在、私たちの身の周りに広く普及している電子機器(パソコン、液晶テレビ、スマートフォンや携帯電話の画面、携帯ゲーム機)の液晶モニターの光の正体は、実はLEDライトの光です。
これら機器の液晶モニターから発している光を色別に分けて見てみると、ブルーライトが多いことが分かります。比べて、ブラウン管モニターの光からはブルーライトはそれほど強くありません。私たちの生活は、電子機器の普及と共に受けるブルーライトの量も増えることが予想されます。

ブルーライトが体に与える影響

概日リズム(サーカディアンリズム)を整える

明るくなると目が覚めて、暗くなると眠くなる体のリズムのことを概日リズムと呼びます。私たちの目がブルーライトを認識すると、脳内において眠気を導く「メラトニン」の産生量が減少します。そのため、毎朝、目が覚めて太陽の光や部屋の明かりに含まれるブルーライトを浴びることは、体内時計をリセットし、脳と体を活動状態に向けて活性化させる上でとても大切なことです。

夜のブルーライトは不眠症の原因に!?

一方で、夜間にブルーライトを浴びると、私たちの体が徐々に睡眠へと向かう過程を妨げる原因になってしまいます。夜中までパソコンで仕事をする、またはテレビに夢中になってしまうなど、目がブルーライトを感知して脳のメラトニンの分泌が抑えられると、脳や体が活動状態のままでリラックスする時間が十分に持てません。そのため、体内時計や自律神経が乱れてしまい、なかなか寝付けなくなったり、翌朝の起床が辛くなるなど日常生活に支障が出てしまいます。

生活の中でブルーライトと上手につきあう

規則正しい生活をおくることが何より大事です。朝はなるべく同じ時間に起きるようにしましょう。なかなか起きられない方は、朝起きたら直ぐに窓を開け、太陽の光を部屋に取り込んだり、室内照明を点灯させることで光を浴びるようにしてください。体内時計をリセットすることで、夜になれば自然と眠気が出てきます。そして、夜間は目に入るブルーライトの量を減らすよう努めましょう。部屋の光の量を減らしたり、またはブルーライトの少ない黄色や橙色の照明に切り替えるなど、目をリラックスさせ、脳や体を睡眠状態へと導くことが大切です。

過剰なブルーライトが目に与える影響とは?

目の疲れ、眼精疲労

ブルーライトは他の色と比べて光の波が小さく細かい(波長が短い)ため、空中のチリやほこりによって散乱してしまいます。その影響がパソコンやテレビの画面のぶれやちらつきとして表れるため、私たちの目はピントを合わせようと一生懸命に働きます。その結果、目の筋肉や視覚を認識する脳が疲れてしまい、目の疲れにつながります。

目の網膜や黄斑部へのダメージ、加齢黄斑変性

ブルーライトは、紫外線に次いで高いエネルギーをもっています。そのため刺激性も高く、網膜や黄斑部にダメージをあたえ、網膜疾患や加齢黄斑変性を引き起こす原因の1つと考えられています。
加齢黄斑変性は、加齢に伴って生じる老廃物や酸化ストレス(活性酸素)によるダメージが黄斑部や網膜で蓄積した結果発症することが、既に多くの研究から分かっています。

ブルーライトから目を守るには?体の外側と内側からダブルケア!

サングラスやフィルムで目を外側から守る

最近では、紫外線や太陽光をカットするサングラスの他にも、ブルーライトの光を軽減させるパソコン用メガネや、液晶モニター用のフィルムが販売されています。また、晴れた日の外出には帽子や日傘で直射日光を避けるとともに、サングラスやブルーライトカットレンズを備えたメガネを着用することで地面や建物、車のガラスの反射光から目を守ることができます。また、ブルーライトは黄色や黒色に吸収される性質がありますので、サングラスを選ぶ際はレンズの色も重要です。

サプリメントで目を内側から守る

ルテイン/ゼアキサンチン
私たちの目の黄斑部には、もともとルテインやゼアキサンチンと呼ばれる黄色いカロテノイド色素が備わっています。ルテインやゼアキサンチンが、黄斑部に到達するブルーライトを吸収・遮断することで、私たちの目の健康維持に働きます。ルテインは、ほうれん草、ブロッコリーなど緑色の濃い葉物の野菜に多く含まれます。一方、ゼアキサンチンはパプリカやパパイヤ、柿など橙色の野菜や果物、卵の黄身に多く含まれます。

ビルベリー、サンタベリー
ビルベリーやサンタベリーに含まれるアントシアニンやレスベラトロール、プロアントシアニジンなどのポリフェノールは、高い抗酸化作用を持っています。そのため、ブルーライトによって発生する活性酸素を抑え、網膜や黄斑部のダメージを軽減する効果をもつことが、最近の研究で分かってきました。

チェリー
チェリーにはメラトニンが含まれており、体内時計を整え自然な睡眠を導くことをサポートする働きが期待できます。メラトニンは、脳から分泌されるホルモンの一種で自然な眠りを導きますが、ブルーライトを浴びることで分泌される量が少なくなったり、正常に分泌できなくなったりします。タルトチェリーには特に多くのメラトニンが含まれているため、タルトチェリーを食べることで体内のメラトニン濃度を上げることができ、不眠を解消させる効果が期待できます。

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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