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見えない・見えづらい方へのお役立ち情報

「日本ライトハウス展~全国ロービジョンフェア2025」 体験レポート

日本ライトハウス展案内

「日本ライトハウス展~全国ロービジョンフェアは年に1度行われる西日本最大級の視覚障害に関する展示会です。日々新たな技術の開発が進んでいる視覚障害の分野。最新技術をのぞきに展示会へ行ってきました。50を超える機器やアプリ、サービスなどがありましたがその中から私が特に驚いた技術を3つ紹介します。

BOVLIFE(ボブライフ)株式会社の
メガネ型拡大読書器「ATARO(あたろう)」

メガネ型拡大読書器を試している男性誰もが当たり前に暮らせる世界を目指し、見えづらい明日に光を届けたいと2023年に創業したのがBOVLIFE株式会社です。
「ATARO」は、レンズ部分がディスプレイになっている拡大読書器(モニターニ文字を拡大して映す視覚支援機器)です、メガネにつけられたカメラで撮影した映像がディスプレイに投影される仕組みになっています。
そして「ATARO」にはこれまでの拡大読書器にはない機能が3つあります。

機能1.本体がメガネ型

通常は本体・モニターが大きく持ち運ぶのが大変なモノや持ち運べてもタブレットくらいの大きさの機器を文字を読む間ずっと手に持つ必要がありました。しかし、メガネ型になったことで屋外屋内問わず持ち運べて、文字を読んでいる間機器を持ち続ける必要がなくなります。

機能2.自動でピントを調節してくれる

例えば、手元の文字を見た後すぐ遠くにある看板の文字を見たとしても、自動的にピントを調節してくれるので、さまざまな距離の文字をストレスなく見ることができます。

機能3.暗い場所で明るく見える

基本は拡大読書器ですが、暗い場所でも少しの光を増幅させ明るく見える暗所視機能が搭載されているので、網膜色素変性症などによる夜盲症(暗い場所で見えづらくなる症状)がある人の助けになってくれます。

私は網膜色素変性症で中心部分の視野がほとんどないため、残念ながらディスプレイに映った文字を読むことはできませんでした。しかし、網膜色素変性症では中心部分の視野が最後まで残っている人も多く役立つ人も多くいらっしゃると思います。
担当者から「どんな場面で役立ちそうですか?」と尋ねられたときに、「以前、商業施設の飲食店が多く並んでいる場所でどんな店があるのかわからない、暗くて人を避けて歩くのが大変だった」ことを思い出し、「ATARO」があれば助かりそうだと答えています。

Sonyのユーザー補助機能付きテレビ「BRAVIA(ブラビア)」

BRAVIAのユーザー補助機能

2つ目に紹介するのは、家電量販店などで販売されている一般的なテレビのひとつ。「BRAVIA」です。実は、2024年以降に発売された「BRAVIA」にはユーザー補助機能が標準搭載されています。さまざまな機能がありますが、特に視覚障害に関するものを3つ紹介します。

機能1.トークバックによる音声読み上げ

トークバックというandroidのスマートフォンやタブレットの画面の文字を読み上げてくれる視覚障がい者向けのシステムと同じものが組み込まれていて、消音ボタンを長押しするとトークバックが起動し、メニュー画面や番組表など画面に表示されている文字を音声で読み上げてくれます。

機能2.グレースケール

画面を白・黒・灰色(グレー)の濃淡だけで表現する表示モードで色の区別が判別しにくい場合に映像や文字の見やすさが向上します。特に赤と緑の区別が難しい方向けの機能です。

機能3.画面の文字を拡大して表示

番組表やヘルプページの文字を一時的に拡大して表示することができるので高齢者やロービジョンの人には便利な機能です。

私は今回の展示会で、BRAVIAにユーザー補助機能が搭載されていることを初めて知りました。Sony担当者も「音声読み上げ機能やグレースケールの認知度が低いので、もっと多くの人に知ってもらえるよう展示会に参加しています」と話されていました。

株式会社きざきの白杖とオムロン株式会社の技術が融合した「スマート白杖」

スマート白杖の体験株式会社きざきは、スキーポールやトレッキングポールなどのスポーツ用品や歩行補助用ステッキの設計・開発・製造を行う老舗メーカーで、その技術を生かして白杖も制作しています。
オムロン株式会社は、制御機器・ヘルスケア・電子部品・データソリューションなど多岐にわたる事業展開をしているだけでなく、視覚障がい者向けAIスーツケース開発への技術提供も行っています。
スマート白杖の仕組みは、白杖に取り付けたカメラの映像と超音波で障害物までの距離を感知し、音と振動で知らせてくれます。障害物までの距離が遠いとリズムはゆっくり、近いとリズムが速くなります。

展示会場で体験しましたが、白杖に取り付けられたカメラを壁の方に向けるとゆっくりしたリズムで音と振動が始まり、壁に近づいていくとリズムがどんどん速くなるのを白杖を通じて感じることができました。
しかも、細いポールでも障害物だと認識したのは驚きでした。これがあればぶつかる確率がかなり低くなるので早く使いたいと感じました。
担当者は、「開発を初めて1年で、まだまだ開発途中。展示会などで皆さんに使ってもらって意見を集め、さらによいものにしていきたい」と話されていました。

終わりに

「日本ライトハウス展~全国ロービジョンフェアに行き、以前はほとんど見かけなかった家電へのユーザー補助機能の搭載が増えていたり、白杖や読書器などすでに使われているものでも、さらに改良してより安全により安心して使ってもらいたいという企業の熱い思いをたくさん感じることができました。どんどん見えなくなるのは不安ですが、みなさんの話を聞いて希望が膨らんでいます。
このような展示会は大小問わず全国で開催されているので見えない・見えづらいで悩んでいる方は一度展示会に参加してみるのはいかがでしょうか。悩みを解決できるヒントが見つかるかもしれません。
私もまた展示会に参加した際は体験レポートをお届けいたします。

参考

視覚障がい者の自立を支える次世代型ウェアラブル ATARO.®|BOVLIFE株式会社(ボヴライフ)

ソニー株式会社 | サステナビリティ | ブラビア:新しいユーザー補助機能(アクセシビリティ)の紹介|ソニー公式(テキスト版)

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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