
私は網膜色素変性症という進行性の目の病気で視力低下、視野狭窄などが進み今は文字を読むことや人の顔を認識することはできません。最近職場でも壁やドアにぶつかったり迷ったりで支障が出ていました。そこで同僚が視覚障がい者誘導マット「歩導くん」を見つけて教えてくれ、便利と感じたので皆さまにも紹介させていただきます。
点字ブロックは日本発祥
点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)は、発明家の三宅精一さんによって考案されました。きっかけは友人が視覚障害によって外出することが難しくなったという話を聞き、「なんとか力になりたい!」と制作を開始され、1965年に完成しました。
そして、1967年3月18日に岡山県立盲学校近くの国道2号線の歩道に世界で初めて設置されたことから3月18日が「点字ブロックの日」に制定されました。
誕生して60年、今では日本のみならず世界中に普及していて、総枚数は1億枚以上です。
屋内専用視覚障がい者誘導マット誕生
点字ブロックは屋内に設置するとなると大がかりな工事が必要な場合や設置できたとしても凸凹が危ないなど多くの問題がありました。そんな点字グロックの状況を何とかしたいとゴム製品を製造されている錦城護謨株式会社の代表取締役社長である太田泰造さんの「移動空間の物理的なバリアを取り除くだけでなく、その空間を誰がどのように利用するのかを相手の立場に立って考えることにより、お互いが関心を持ちお互いが理解しあえる本当のバリアフリーが実現できると信じています。視覚障がい者の多くは、移動時にストレスを感じています。誰もが安全に移動できる空間は視覚障がい者の選択肢を増やすこと、延いては障害がハンデとならない世界の第一歩です。」という想いから屋内専用の視覚障がい者誘導マット「歩導くん」が誕生しました。
「歩導くん」とは
歩導くんは、表面に突起がなく、マットの周囲も非常になだらかな傾斜になっているためつまずきにくく、車いすでもスムーズに通れるなど多様な人が共存できるユニバーサルデザインになっています。
全盲の方には、白杖で叩いたときの音や質感の違い、マットに乗ったときの足の裏の感触で認識できるほか、豊富なカラーバリエーションの中から床とのコントラストが高い色を選んで設置することで弱視・ロービジョンの人たちが確認しやすいよう作られています。
手軽に導入できる
マットは30cm幅と、44cm幅の2種類があります。
30㎝幅は一般的な点字ブロックと同じサイズで、44㎝幅は両足で乗って歩くことができるサイズです。
建物の内観に合わせて色が選べる上に工事の必要もなく、幅が広い両面テープを床面に貼り付け、その上からマットを並べるだけなので手軽に導入できます。
※ 階段や傾斜部分については注意喚起として警告ブロックが必要となります。
導入実績
歩導くんは、島根県の出雲空港に出入口から受付カウンターまで設置されています。
沖縄県のイオン那覇店では入口から受付までの間に設置されています。他にも北海道の函館アリーナ、茨城県筑波技術大学、東京都荒川区役所や東京信用金庫など全国の公共機関、病院、大学、社会福祉施設、金融機関、イベント会場など多くの場所で採用されています。
そして、私が勤務する「わかさ生活本社」でもエレベーターを降りてから執務スペースへ続くところに設置しています。薄暗い場所ですが床とのコントラストが高い色のマットがつけられているので、認識できて安全に利用できています。
最後に
私は20年程前はまだ視力も視野もあったので、点字ブロックは必要ない状態でした。しかし、今は白杖を手放すことができず点字ブロックにもかなり頼っています。ここ数年、急速に進行し職場内を移動にもかなり不安を感じていました。今回職場に設置いただいた「歩導くん」はかなり助かっています。
屋内の移動も安全にできるよう多くの場所に導入が進むことを望みます。
参考URL
錦城護謨株式会社
https://www.kinjogomu.jp/welfare/index.html