急増する若者の急性内斜視 – その実態と特徴
急性内斜視とは、突然、片方の目が内側に向いてしまう症状を特徴とする眼の疾患です。物が二重に見える複視や、目の疲れ、頭痛などの症状を引き起こし、日常生活に支障をきたす可能性があります。
日本弱視斜視学会と日本小児眼科学会が実施した全国調査では、気になる実態が明らかになりました。全国55の医療機関から報告された5歳から35歳までの患者194人のデータによると、最も多かったのは16歳の16人。続いて13歳が14人、14歳が13人と、中高生の年代に集中していることがわかりました。
特筆すべきは、この年代層では6割以上が男性患者だったという点です。この男女差の理由については明確になっていませんが、スマートフォンの使用時間が長い傾向にある中高生の生活習慣との関連が指摘されています。
スマートフォンの使用制限は効果的?最新調査から見える課題
では、スマートフォンの使用時間を制限することで症状は改善するのでしょうか?調査では、使用時間が長かった156人を対象に、3か月間の使用制限を実施。小学生以下は1日1時間未満、中学生以上は2時間未満という基準を設けました。その結果は、予想以上に厳しいものでした。完全に斜視が治った人はわずか10人。ある程度症状が改善した人が58人いた一方で、改善が見られなかったり症状が悪化したりした人が88人と、全体の約6割を占めました。
改善が見られた患者の多くは、使用時間を従来の半分程度にまで減らしていたことがわかっています。しかし、使用時間の制限だけでは改善に至らないケースも多く、より包括的な対策の必要性が浮き彫りになりました。
「急性内斜視」を防ぐ!対策と注意点
この病気は、早期発見・早期治療が大切です。日頃から、目の健康に配慮した生活習慣を送ることが、予防につながります。
急性内斜視を予防するためには、まず使用時間の適切な管理が重要です。小学生以下の場合は1日1時間未満、中学生以上でも2時間未満を目安に使用時間を制限しましょう。また、長時間の連続使用は避け、こまめに休憩を取ることで目への負担を軽減できます。
次に、正しい使用姿勢にも注意が必要です。スマートフォンやタブレットの画面との距離は最低でも30cm以上保つようにしましょう。また、目の疲れを防ぐため、十分な明るさのある場所で使用することが大切です。特に寝転がった状態での使用は目に負担がかかりやすいため、できるだけ避けることをお勧めします。
また、次のような症状が出現した場合は要注意です。「物が二重に見える」、「目が内側に向く感覚がある」、「頭痛やめまいが続く」、あるいは「通常以上の目の疲れを感じる」場合は、急性内斜視の可能性があります。このような症状を感じたら、早めに眼科を受診しましょう。早期発見・早期治療が、症状の改善に大きく影響します。
参考
NHK 急性内斜視の患者 スマホ使用時間減も6割近くは症状改善せず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241114/k10014637701000.html