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目の症状や病気と予防・治療法

人によって見え方が違う?特定の色が判別できない「色覚異常」とは

赤と緑の色覚検査のメガネ

ある日、こんな話を耳にしました。

『黄色のシャツを着ていたのに、同僚の外国人の女性から「素敵なグリーンのシャツだね」と言われ、驚いた経験があります。さらに驚いたことに、別の同僚の外国人の男性にも「グリーンに見える」と言われ、私にだけ黄色に見えていることに気が付きました』

当事者には黄色に見えていた衣服が、当事者以外の人からは緑色に見えていたというこの現象。実は、特定の色が正しく識別できない「色覚異常」という状態です。

日本では、男性では約20人に1人、女性では約500人に1人が患っていると言われている色覚異常。今回の記事では、色覚異常の原因や、検査方法、そしてその対策について解説していきます。

あなたの身近にも意外といる「色覚異常」とは

色彩豊かな絵

色覚異常は、通常、遺伝的な要因や環境の影響によって引き起こされる視覚障害の一種です。正常な色覚を持つ人々は、光の波長に応じて異なる色を感知することができますが、色覚異常者は赤、緑、青の三つの原色のいずれかを認識する能力に問題があり、特定の色を正確に区別できないか、または認識できないことがあります。
色覚異常の大部分は先天性であり、個々の遺伝的な要因によって引き起こされます。遺伝的な色覚異常はX染色体に関連しており、男性が女性よりも色覚異常になるリスクが高いと言われています。

後天的な色覚異常も存在しますが、これは比較的まれで、主に疾患や外傷、特定の薬物の副作用などが原因です。先天性の場合とは異なり、後天性の色覚異常は通常、生涯にわたって持続することは少なく、原因が解消されることで、正常な状態に戻ることがあります。

色覚異常は視覚の異常な受容体や神経の発達に関連しており、色覚異常の原因は「遺伝」が多いことでも知られています。

色盲や色弱、色覚異常の違い

かつてはは色が全く分からないなど、色覚に異常がある場合に用いられてきた「色盲」や「色弱」といった言葉ですが「盲」という言葉に差別的なニュアンスがあることなどから、2005年に日本眼科学会によって眼科用語集の改訂が行われ、以降、見え方に異常がある状態のことを色覚異常と呼ぶようになりました。
現在では「色覚異常」に表現が統一され、広く周知されています。

色覚異常が日常生活に及ぼす影響

パソコンでカラーを確認

軽度な色覚異常の場合、日常生活においてほとんど問題なく過ごすことができます。
しかし、赤緑色覚異常を持つ人は、信号機や標識などで赤と緑を正確に区別しにくい場合があります。このため、十分な注意が必要であるとされる交差点や横断歩道での歩行や運転時には支障をきたす可能性があります。また、特に危険物の扱いや火災警報機の確認など、安全に関わる状況で正確な色の認識が求められる場面では、色覚異常者はより慎重である必要があります。

そのほかにも、電気技師や、美術家、デザイナー、薬剤師など、色に関する作業が中心となる職業では、色覚異常が問題を引き起こす可能性があります。色覚異常の状態によって個々の影響は異なりますが、環境や職業によっては配慮や調整が必要な場合があるので注意が必要です。

 

色覚異常をテスト!色覚検査

 色覚異常を検査するためには、主に3種類の方法があります。

1. 色覚検査表(石原式)

上記の図は石原式色覚検査表と呼ばれるもので色覚異常の診断によく使用されています。
異なる色のドットが配置されたテストプレートが含まれています。正常な色覚を持つ人は、特定の数字やパターンが浮かび上がって見える一方で、色覚異常者はそれが難しいか、見えないことがあります。

2.色相配列検査

被験者は、異なる色の小さなプラスチック製キューブを整列させる課題に取り組み、色の系列や順序を正確に整列できるかチェックします。

3.アノマロスコープ

色覚異常を評価するための光学機器です。2つの異なる色の光を混合し、被験者に対して与え、その混合光がどれだけ正確に見えるかを評価することによって色覚異常の程度を測定します。アノマロスコープは、特に色覚異常の種類や程度をより詳細に知りたい場合や、研究や臨床診断で使用されます。

まずは眼科へ!色覚異常は早期治療が大切

色覚異常は通常、先天的で遺伝的な要因によるものであり、その構造的な変化は矯正が難しいため、残念ながら明確な治療法は確立されていません。しかし、色強調メガネやコンタクトレンズ、色の識別能力を向上させるためのトレーニングプログラムなど、さまざまな方法で進行を食い止め、日常生活に支障がきたさぬよう支援する方法があります。

早期に眼科を受診することで、自分に合った色覚補助の方法を見つけることができます。
まずは専門医をきちんと受診し、自身の状態を確認してみましょう。

参考文献

https://senshinkai-clinic.jp/blog/color-blindness-test/

 

 

 

 

この記事を書いた人

山本 エミ

Webライター、編集者。学生時代は両目視力2.0をもちながら、現在は左右の目の視力差が大きい「不同視(ガチャ目)」に悩む日々。現代病である疲れ目など、目の健康に役立つ記事を中心に執筆している。

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