結膜下出血は、結膜(白目)の下の細い血管が破れて内出血した状態で、白目の部分がべったり赤く染まります。痛みやかゆみといった自覚症状は生じませんが、健康の危険信号とも言われ、油断は禁物です。
そこで、本記事では、結膜下出血の定義について説明した後、症状や原因について解説します。治療法についても解説するため、参考にしてください。
結膜下出血とは?
結膜下出血は、白目の部分にあたる結膜の血管が破れて出血し、白目が赤くなる病気です。原因はさまざまで、ケガやウイルスによってもおこります。白目の部分がべったりと赤く染まるため、重い症状を伴うように見えますが、実際は目が赤いだけで、疼痛(とうつう)が出ることはありません。投薬治療などは不要で、自然に治るケースが大半です。
結膜下出血は、寝不足や疲れがたまった時、過飲酒、水中メガネの絞め過ぎなどによって発生します。発生して2日ほどは白目部分の赤色化が止まらないため、悪化したように見えますが、出血は1〜2週間ほどで自然に吸収されます。
結膜下出血の症状
結膜下出血は、結膜に存在する大小の血管が破れることで、白目の部分に出血斑が広がります。出血斑は小さな点状のものから、眼球結膜全体を覆う広範なものまでさまざまです。血腫をつくることもあります。
自覚症状では、痛みやかゆみ、目やにといった症状も伴いません。時に軽度の違和感や出血時の痛みがある程度です。眼底出血と違って視力の低下や緑内障などの発症につながることもないとされます。
ただし、基礎疾患が結膜下出血の原因となっている場合には、基礎疾患に関連した症状を伴う場合があります。例えば、アレルギー性結膜炎では、かゆみや目の充血を認めるほか、ウイルス性結膜炎では、充血に加え、目やにや羞明(まぶしい)を認めることがあります。
結膜下出血の原因
結膜下出血は、寝不足や過飲酒の後に表れるほか、下記のような原因でも起こります。
- けが(外傷、手術など)
- ウイルスによる急性結膜炎
- 全身疾患(高血圧や糖尿病、腎臓病、白血病など)
- ドライアイやアレルギー性結膜炎などによるかゆみのため、目を強くこする
このように結膜下出血は、何らかの要因によって発生する一方で、ほとんどが原因を特定できないのも実情です。このため、結膜下出血の多くは、原因を特定できない「特発性結膜下出血」に分類されます。
しかし、特発性結膜下出血は近年、結膜弛緩が関係しているのではないかと言われています。40歳ごろから50歳ごろまでに顕著に現れるとされる結膜弛緩は、白目部分の結膜が弛緩し、緩む状態です。結膜弛緩では、目の中にある血管が折れ曲がってしまう状態に加え、たるんだ
結膜が瞬きのたびに眼球内を動き回るため、その摩擦で血管が破れやすくなるとされます。
結膜下出血の治療法
結膜下出血は、軽度であれば、出血が1〜2週間程度で自然吸収され白目に戻るため、治療の必要はありません。運動制限など日常生活での制限も必要なく、通常通りの生活を送ることが可能です。ただし、出血がひどい場合は、治るまでに2〜3カ月かかる場合があります。
しかし、原因疾患の場合は、治療が必要です。例えば、鋭利なものや金属片などで眼外傷を受けたり、ボールや転倒などで眼球が破裂する穿孔性眼外傷を受けたりした場合は、すぐに治療を受けなければなりません。
原因が不明でも頻繁に結膜下出血が起こる時は、糖尿病や動脈硬化といった全身疾患が隠れている可能性があります。その場合は、内科で全身を検査しましょう。
まとめ
結膜下出血は、痛みやかゆみといった自覚症状を伴わない上に、投薬治療などは不要で、1〜2週間程度で自然治癒するケースが大半です。
しかし、繰り返し結膜下出血を起こす場合は、何らかの原因疾患が潜伏している可能性があります。その場合は、内科や眼科を受診し、検査しましょう。
参考文献
三重野洋喜「ⅤⅢ. 内科医に必要な赤目の診断と治療」『日本内科学会雑誌』110巻12号、一般社団法人日本内科学会、pp.2574-2579
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/12/110_2574/_pdf
結膜下出血とは|参天製薬株式会社
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/hyposphagma/