記念日制定のきっかけとなったのは、岡山市の盲学校で教員をされていた全盲の方により進められた、途上国に住む視覚障害を持つ子どもたちへの支援活動で光を届ける取り組みでした。
この取り組みがどのような思いから始まったのか、どのようにして子どもたちに光を届けているのかを紹介します。
途上国の盲学校設立
全ての始まりは岡山盲学校の元教頭先生で、幼い頃病気で視力を失った竹内昌彦さんの「途上国に住む視覚障害により自立が難しい子どもたちの支援がしたい」という思いからはじまりました。
竹内さんは岡山盲学校の教員時代から2000回以上続けていた「命の大切さ」などをテーマにした講演の謝礼金を蓄え、視力障害により自立が難しい途上国の子どもたちのために盲学校を設立しました。
2011年にはモンゴルに、2015年にはキルギスに設立されました。
そして、学校ができ入学希望者を募ったところ、その中に手術をすれば目が見えるようになる子どもたちがたくさんいることがわかりました。
竹内さんは幼い頃に光を失い見えるようになることはないと言われていたので、目が治る可能性がある子どもたちがたくさんいることに衝撃を受け、「治療して治る目なら治してあげたい!」という想いから、子どもたちの目の手術費用を集めるために「ヒカリカナタ基金」を立ち上げました。
盲学校について
日本では各都道府県に視覚に障害のある幼児・児童・生徒が学ぶ学校として盲学校があります。学ぶ教科は高校生までは通常の学校とほとんど同じ内容で、高校を卒業した後にマッサージの資格を取るためのカリキュラムを受けることもできます。
主に点字や拡大文字、視覚支援機器などを使用して授業を行ないます。
そして、盲学校のカリキュラムには自立活動の授業もあります。
これは視覚障害があっても社会の中で自立できるように様々な訓練(点字の読み書き・白杖を使っての歩行・音声読み上げ機能を使ったパソコン操作など)を行います。
モンゴルやキルギスに設立された盲学校では最終的にマッサージの資格を取得することで自立できるようカリキュラムが組まれています。
「ヒカリをカナタに届ける日」制定
竹内さんは盲学校にくる子どもたちを通して、遠い国にはわずかな手術代さえ用意できなくて、目が見えないまま暮らしている子どもたちがたくさんいることを知りました。「そんな子どもたちの目を治したい、そしてお母さんの顔を見せてあげたい」という想いで立ち上げた「ヒカリカナタ基金」。手術費用は1人あたり日本円で3万円ほどかかります。基金ではまず1000人の子どもたちの目を治すことを目標に活動が行われ、これまでに624人の子どもたちの目が見えるようになりました。この活動を多くの人に知ってほしいと日本記念日協会に「ヒカリカナタ基金」の設立日である8月25日を「ヒカリをカナタに届ける日」として申請し、2022年に認められました。
最期に
例えば白内障という目の病気。日本では比較的簡単に手術ができて見えるようになる方も多いのですが、世界的には白内障は失明原因の第一位です。白内障だけでなく手術をすれば治すことができる目の病気はたくさんあります。世界には手術を受けたくても経済的な理由で受けられない方がいらっしゃいます。「ヒカリをカナタに届ける日」の取り組みが広がることで1人でも多くの子どもたちの見える喜びに繋がることを願っています。
参考URL ヒカリカナタ基金
https://www.hikarikanata.com/