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目の症状や病気と予防・治療法

目の健康にも役立つ!?健康成分「ラクトフェリン」

ラクトフェリン画像

皆さまは「ラクトフェリン」という成分をご存じでしょうか?
「ヤクルト」などで昔から馴染みのある成分で“お腹に良い”“腸を元気にする”イメージがありますが、最近“目にも良い”可能性があるということで注目されています。
目に良い成分と言えば、ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」や、緑黄色野菜に含まれる「ルテイン」などが有名ですが、今回は注目の「ラクトフェリン」をご紹介いたします。

「ラクトフェリン」とは?

女性がラクトフェリンを考える画像

「ラクトフェリン」は、1939年にデンマークの化学者であるゼーレンセン博士によって、牛乳から発見されました。その後、1961年にフランスの学者によって「ラクトフェリン」と名付けられました。ラクト(lacto)は乳、フェリン(ferrin)は鉄という意味を持ち、鉄と結合する性質を持つことが発見されたことから「ラクトフェリン」という名前がつけられました。
「ラクトフェリン」は当時、牛乳に存在する赤色タンパク質として特定されました。その後、鉄に結合することで赤みを帯びることが分かります。
現代では以下のようなからだの部分から分泌される、ほとんどの液に含まれることが分かっています。
❶涙
❷唾液
❸鼻水
❹汗
❺母乳など
意外と身近な成分というのがわかります。
涙に含まれるということで、目において何らかの機能をもっていそうな雰囲気ですよね。そうなんです。
じつは、涙液中で抗炎症作用や抗酸化作用、抗菌作用など、複数の働きを担うことが分かってきています。

ドライアイに有効な成分

女性の目元

「ラクトフェリン」による健康効果はいくつか報告されていますが、特にドライアイの研究が多くなされています。
例えば、6ヵ月間「ラクトフェリン」入りのエサを与えられたマウスは、普通のエサを与えられたマウスに比べ、涙の分泌量が多くなることが分かりました [1]。
人に対して行われた実験もあります [2]。
この実験では、白内障手術を受けた患者64名のうち32名に、術後60日間「ラクトフェリン」を一日350mgの摂取を続けました。
白内障手術など角膜切開をおこなう手術のあとは、患者がドライアイを誘発することが多いそうです。
この実験の結果、「ラクトフェリン」を摂取しつづけたグループは、摂取しないグループよりも60日目に軽度のドライアイ症状を訴える人の割合が約38%も少なかったことが分かりました。
また、「ラクトフェリン」は食事の栄養としてだけではなく、目薬成分としても使えるのではという報告もあります [3]。
ミネラルの一つ「セレン」を結合させた「ラクトフェリン」を含む目薬が、ドライアイの実験動物において角膜を守ることが分かりました。
どうやら目薬中の「ラクトフェリン」が角膜への取りこみを促す可能性があるようです。
このように、「ラクトフェリン」の目に対する効能は、食べ物から目薬まで幅広く報告されています。

からだへの働き

スマホをみている女性

さらに驚くことに、目以外における働きも多く報告されています。
❶免疫力を高める
❷腸内環境を整える
❸貧血を予防する
❹胃の健康を保つ
❺老化を防ぐ
❻骨粗しょう症を予防する
❼内臓脂肪を減少させる
❽ストレスを和らげる
※わかさの秘密「ラクトフェリン」[4]

「ラクトフェリン」はからだのあらゆるところで活躍する優れた成分なのです。

ラクトフェリンが多く含まれる食べ物

ラクトフェリン朝食

では、「ラクトフェリン」はどのような食べ物に含まれるのでしょうか?
以下のような食べ物に多く含まれています。
❶ 牛乳
❷ ヨーグルト
❸ ホエイプロテイン [5] などの乳製品ですね。
中でもホエイ成分に多く含まれています。
本やネットなどで「乳製品は摂りすぎると良くない」という話題を取り上げられることがあります。
たしかに、乳製品はニキビを増やしたり、いくつかのガンのリスクを上げたりすることが報告されています。
しかし、それは過剰摂取した場合の話です。
乳製品には「ラクトフェリン」を含むいろいろな健康成分が含まれるので、バランスの良い食事の中で乳製品を適度に摂るようにしましょう。

まとめ

今回は、「ラクトフェリン」について取りあげました。
デジタル機器が必須になった現代では、「アントシアニン」や「ルテイン」だけでなく、「ラクトフェリン」を摂ることも必須になってくるかもしれません。
とくにドライアイの症状の方は「ラクトフェリン」が多く含まれる乳製品を意識して摂ってみてはいかがでしょうか。

参考

[1] Kawashima, M., Kawakita, T., Inaba, T., Okada, N., Ito, M., Shimmura, S., . . . Tsubota, K. (2012). Dietary lactoferrin alleviates age-related lacrimal gland dysfunction in mice. PLoS One, 7(3), e33148. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0033148

[2] Devendra, J., & Singh, S. (2015). Effect of Oral Lactoferrin on Cataract Surgery Induced Dry Eye: A Randomised Controlled Trial. J Clin Diagn Res, 9(10), NC06-09. https://doi.org/10.7860/JCDR/2015/15797.6670

[3] Higuchi, A., Inoue, H., Kaneko, Y., Oonishi, E., & Tsubota, K. (2016). Selenium-binding lactoferrin is taken into corneal epithelial cells by a receptor and prevents corneal damage in dry eye model animals. Sci Rep, 6, 36903. https://doi.org/10.1038/srep36903

[4]わかさの秘密「ラクトフェリン」https://himitsu.wakasa.jp/contents/lactoferrin/

[5] Zapata, R. C., Singh, A., Pezeshki, A., Nibber, T., & Chelikani, P. K. (2017). Whey Protein Components – Lactalbumin and Lactoferrin – Improve Energy Balance and Metabolism. Sci Rep, 7(1), 9917. https://doi.org/10.1038/s41598-017-09781-2

 

 

この記事を書いた人

吉田朋生

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 博士前期課程 修了。視神経系が構築されるしくみについて研究していました。サイエンスにかぎらず、歴史や哲学、社会学などにも興味があります。多角的な視点で情報発信してきたいと思います。

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