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目にまつわるお役立ちニュース

この機会に知ってほしい!9月23日は「網膜の日」 〜ずっと“見える”が続きますように〜

目の検査をしている高齢女性

毎年9月23日は「網膜の日」。日本記念日協会にも認定されているのですが、みなさんはご存じでしょうか。
実は「網膜の日」は、とある目の病気とその症状がきっかけとなり制定されました。
今回はそんな「網膜の日」について紹介いたします。

網膜の役割

「網膜の日」について紹介する前に、まずは“網膜”がどのような役割を果たしているのかを紹介します。
網膜は目の奥にある0.1~0.4mmほどの薄い膜で、光を映像化し、脳に運ぶ役割を担っています。
そんな網膜には、光に反応する「錐体(すいたい)細胞」と「桿体(かんたい)細胞」という2種類の視細胞をはじめ様々な細胞が数億個存在しているといわれています。
錐体細胞は、明るいところでモノを見る時に、桿体細胞は暗いところでものを見る時に働く細胞です。
多くの細胞の働きにより私たちはモノを見ることができています。

記念日制定のきっかけとなった目の病気とは

このように網膜はモノを見る上でとても大切な働きをしていますが、網膜の細胞に異常が起こり、見えない・見えづらい状態になってしまう病気の一つに「網膜色素変性症」という病気があります。
主な症状としては「視力低下」や桿体細胞の働きが悪くなることで昼夜問わず暗所で見えづらくなる「夜盲症」、見える範囲が少しずつ狭くなっていく「視野狭窄」などがあります。
私はこの「網膜色素変性症」を発症しており、小さい頃はメガネをかければ日常生活に支障がなかったのですが、今は文字が読み辛かったり、人の顔が見えなくなっています。
『網膜の日』ができた背景には、この「網膜色素変性症」に関連する団体「国際網膜協会」と「日本網膜色素変性症協会」が関係しています。

はじまりは世界網膜週間

9月の最終の一週間を「網膜週間」として、「国際網膜協会(スイス)」が加盟国に呼びかけ、社会にあまり知られていない「網膜色素変性症」や「アッシャー症候群(網膜色素変性症に難聴を伴う病気)」などの啓発を全世界同時に行う目的でシンポジウムなどが開催されたのがはじまりとされています。
日本では、「日本網膜色素変性症協会」が中心となり1995年から9月の最終日曜日を世界網膜の日と定め、講演会や公開シンポジウム、最新の視覚補助機器の展示会などが行われてきました。
そして、2017年からは、「網膜色素変性症」だけではなく緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性など様々な網膜の病気についての理解を深め、そうした病気を抱える方々とともに生きる社会づくりを考えていくため、9月23日を「網膜の日」と定められました。

「網膜の日」が9月23日になった理由

ではなぜ9月23日が「網膜の日」になったかというと、昼と夜の長さがほぼ同じになることから、この日を「網膜の日」と定められたそうです。この日を境に夜が長くなっていき、暗い時間が増えていきます。
私のように網膜色素変性症による夜盲症があると「明るさ」はとても重要です。
同じ場所でも暗い時間に歩く時は人や障害物にぶつかって怪我をしたり、道に迷ってしまうことがよくあります。
もし白杖を持った方が困っていたり、危ない場面を見かけた場合は声かけなどしていただけると助かります。

まとめ

網膜の病気により見えない・見えづらい方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、網膜の病気があったとしても、健常者の方との区別がつきにくいため、理解が得られないことがあります。
私も普段白杖を持っているのですが、「なんで見えているのに白杖を持っているんだ」と言われたこともあります。
「網膜の日」をきっかけに、見えることが当たり前ではなく、網膜の病気が原因で見えない・見えづらい方がいることを知ってもらえると嬉しいです。

この記事を書いた人

山本 旭彦

わかさ生活ヘルスキーパー。網膜色素変性症によって視野が狭くなり、暗いところも見づらい症状をもつ。視覚障がいへの理解、気軽にサポートできる環境を広めようと、「あきひこさんの一日」と称した出張授業を小学校などで継続的に実施しています。

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