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目のご利益スポット

【近畿:大阪】蘇った金龍水とは? 柳谷観音 大阪別院 泰聖寺(たいしょうじ)

金龍水の看板

古くから良質な地下水に恵まれていた大阪・天王寺区。
この地域には「天王寺七名水」と呼ばれる名水があり、今回訪れた泰聖寺の境内にも、その名水の一つ「金龍水(きんりゅうすい)」があります。
かつて、この金龍水は眼病回復にも良いと知られていたのだとか。

本記事では、泰聖寺についてご紹介します。

 

泰聖寺の始まりと「金龍水」について

金龍水について

泰聖寺は、宝暦5年(1755年)に八代将軍徳川吉宗公の弟・紹空哲山惠隆上人によって、眼病平癒のお寺として信仰がある京都・柳谷観音楊谷寺の大阪霊場として創建されました。創建当時、境内には「金龍水」「銀龍水」と呼ばれる井戸水が湧いていました。目を患った檀家がこの井戸水で目を洗ったところ、目の病が治ったのだとか。それ以来、眼病に良い水として知られるようになり、また口当たりが甘いことから茶道の水としても重宝されていたそうです。明治天皇行幸の際には金龍水が献上され、金龍水を求めて多くの参拝客が足しげく通ったと伝えられています。
太平洋戦争で堂宇(どうう)は全焼し、終戦後、柳谷観音楊谷寺の「十一面千手千眼観世音菩薩」をお迎えし本尊として安置され、「柳谷観音大阪別院」として再出発されました。

 

「金龍水」 復活の秘話

住職・純空壮宏氏

皆に利用されてきた「金龍水」「銀龍水」は、太平洋戦争で堂宇が消失した際に枯れてしまいました。終戦後、銀龍水の上に本堂が建ち、金龍水の跡が境内に残されました。

住職・純空壮宏氏は、徒弟として入山されるまでは金龍水のことを知らなかったのだとか。
境内にある井戸の跡を不思議に思い住職に尋ねると、「金龍水という井戸の跡や。昔はこの水で目を洗ったり、茶の湯の水として使ってたんやで」と。
その後も「ここは有名な金龍水があったお寺や!」と観光客が訪ねてきたこともあり、金龍水について調べられたそうです。
すると、この金龍水が人々の生活の水として親しまれていたことを知り、「なんとか金龍水を復活させたい。」と、復活に向けて動き出されました。
井戸を洗ったり、井戸の底の泥を取り除くうちにボコボコと水が湧き出し、その後、井戸水としてきれいに整備されました。
現在、衛生面の観点から井戸水の飲用はできませんが(非常災害時のみ使用)、金龍水の御利益に恩恵をあやかりたい参拝者が多く訪れます。

 

泰聖寺に残された眼病平癒のお話「坂田 三吉」

金龍水の井戸

純空氏の願いによって復活した金龍水。

明治・大正期は眼病回復を願って金龍水を求める人が絶えなかったといわれています。その一人に、大正期に将棋の名人として知られる「坂田三吉」がいます。晩年、目を患っていた三吉。
妻のコユウは三吉に代わってお百度参りをし、泰聖寺向かいの清水寺にて荒行(水行)を行い、泰聖寺で三吉の眼病回復を祈願しました。
しかし荒行がたたり、コユウは亡くなってしまいます。
その後、三吉の眼病は手術によって回復。晩年の三吉は「わいが生きているのは、コユウとヤナギダはんのおかげです」が口癖だったといわれています。

「金龍水」を求めて多くの人が訪れる泰聖寺

参拝に来る人々

境内に湧出する「金龍水」「銀龍水」は大阪七名水のみならず「眼病にご利益あり」の評判高く、また「明治天皇御用水」の栄を授かるに至り注目を集めました。
また茶道の水としても名高く、茶人・風流人が心寄せるほどであり、この故に山号を「銀龍山」と称されているのだそうです。

眼力稲荷大明神

この水はしばらく枯れてしまっていましたが、平成20年に住職が毎日手入れをしたところ、再度湧き水が復活し、現在では多くの方が金龍水の鎮守である「眼力稲荷大明神」を参拝に訪れます。

この「眼力稲荷大明神」を参拝すると、先見の明(未来をを見通すチカラ)を授けて頂ける御利益があるのだそうです。
毎月21日(弘法大師のご縁日)には眼病諸願平癒のご祈祷が行われます。また境内には、「心眼」にご利益があるといわれる眼力稲荷大明神があります。

天王寺区にお越しの際は、泰聖寺にお立ち寄りください(本堂の参拝は予約制)。

 

>アクセス
地下鉄谷町線「四天王寺前夕陽ヶ丘」駅下車 徒歩約5分
阪神高速道路「夕陽丘」インターチェンジより約2分

>住所
大阪府大阪市天王寺区下寺町2-4-10

>お問い合せ
06-6779-9196

>URL
http://www.taisyoji.com

>備考
【拝観料】無料 【参拝時間】9:00~17:00

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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