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目の症状や病気と予防・治療法

紫外線だけじゃない!夏こそ目もとケアが効果的なワケ

夏を思わせるプールサイド

今年も夏が近づいてきました。

夏は晴れる日が多く、皆が活動的になるシーズン。
まだコロナ禍ではあるものの、可能な範囲でレジャーやイベントなどの予定に胸を躍らせる方もいるかもしれませんね。

しかし「目」にとって、夏はいつも以上に注意が必要な季節でもあります。強い日差しによる紫外線はもちろん、ウイルス感染による眼病の流行など、夏は目のトラブルが増える時期なのです。

なぜ夏は目のトラブルが多いのでしょうか。
目もとケアも含めた感染予防対策について詳しくご紹介します。

夏に増える代表的な眼病ウイルス性結膜炎

 目の不調にはさまざまな原因や疾患が関係しています。夏に多いのはウイルス性結膜炎です。結膜炎は、結膜(白目を覆う半透明の膜)に炎症が起こり、充血して目やにや涙が出る症状です。結膜炎は、ウイルスの他、細菌やアレルギーによっても引き起こされます。

夏に多いウイルス性結膜炎は、感染力が強いことで知られています。原因となるウイルスによって次のように分けられます。

いわゆる「はやり目」流行性角結膜炎

 流行性角結膜炎は、アデノウイルス8型、19型、 37型が原因による結膜炎です。結膜が充血し、目やにや涙が大量に出て、目が開かないほどひどい目やにに悩まされることもあるのが特徴です。

かゆみはほとんどないものの、他の結膜炎よりも症状が重く、耳の前のリンパ節が腫れる症状が出ることも。またひどくなると、目がゴロゴロしたり、痛みを伴ったりする場合があります。

感染から1週間で発症、さらに2~3週間で次第に回復していきます。症状が治まった後、角膜のにごりが出ることもあります。結膜だけでなく角膜にも炎症を起こすのが「流行性角結膜炎」という病名の由来となっています。

 子どもがかかる咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は、流行性角結膜炎と同じくアデノウイルスが原因となる眼病です。ウイルスの型が異なり、3型、4型、7型によって起こります。目の症状である結膜炎のみならず、39度ほどの高熱が突然出るのが特徴です。

のどの腫れや頭痛、場合によっては肺炎を引き起こすこともあります。子どもに多く、プールを介して感染するため、別名「プール熱」とも呼ばれています。

急性出血性結膜炎

エンテロウイルスやコクサッキーウイルスの感染で起こる眼病です。アデノウイルスによる結膜炎と症状は似ていますが、角膜のにごりは出ません。目がゴロゴロします。

 ヘルペス性結膜炎

 ヘルペスウイルスによる結膜炎です。一般的な結膜炎の症状に加え、目の周りの皮膚に小さな赤い水疱が出ることがあります。他のウイルス性結膜炎に比べると他人に伝染するリスクは低くなっています。

ウイルス性ではない細菌性結膜炎

 ウイルスではなく細菌の感染で起こる結膜炎です。目が充血し、目やにや涙が出ます。ウイルス性の結膜炎とは異なり、抗菌薬を2~3日点眼すると症状がほぼ改善します。高温多湿の夏は、細菌が繁殖しやすいため細菌性の結膜炎のトラブルを招きやすいといえるでしょう。

なぜ多い?夏に目のトラブルが増えるわけ

私たちの体は、暑さで体温が上がると、体温を下げようと汗をかきます。その際、汗として水分だけでなく、ナトリウムやミネラルなどの栄養素も同時に外に出してしまうのです。

結果、暑さに対応できずにだるさや食欲不振、眠れない、疲れやすいといったさまざまな不調が現れます。俗にいう「夏バテ」の症状です。夏バテなどで体の免疫力が低下すると、ウイルスや細菌に感染しやすくなってしまいます。

感染症と聞くと、コロナやインフルエンザ、風邪などを連想しますが、目も同じです。

目がウイルスに感染すると、ウイルス性結膜炎を発症します。また細菌が増殖すると麦粒腫(ばくりゅうしゅ)、いわゆるものもらいなど目のトラブルにつながる可能性も出てきます。

さらに夏は、プールに入る機会が増え、レジャーやイベントなどで人との接触が増える季節です。ウイルス性結膜炎は目やにや涙の接触で感染しますから、場合によっては大きな流行が起こるリスクとなるのです。

ウイルス性結膜炎を予防しよう!気をつけたいポイント

 細菌性結膜炎では抗菌薬を2~3日点眼すれば症状が治まります。また、ヘルペス性結膜炎では、ウイルスの増殖を抑えるために抗ウイルス薬を服用したり、軟膏を塗ったりして症状を改善します。けれども、その他のウイルスには現在、特効薬がないため予防が重要になります。

ウイルスを寄せつけないようにするのが大前提で、そのためには清潔第一です。日頃から目もとを大切に、ケアするよう心がけましょう。

  • 必要以上に目をこすったり、触ったりするのはNG。触れるときはきれいに洗った清潔な手で
  • なるべくアイメイクは控えめにし、寝る前には必ず落とすようにする
  • 目に前髪がかからないようにしておく
  • コンタクトレンズやレンズケースをきれいにし、お手入れを怠らない
  • プールなどでは、可能ならゴーグルを使用する
  • 他の人とタオルなどを共用しない
  • 夏バテなどで体調が悪いときは無理をせず、免疫力の低下を防ぐ

残念ながら、ウイルス性結膜炎にかかってしまった場合は、次のような点にも注意しましょう。

  • 学校や職場など集団生活の場には、医師の許可が出るまで行かない(プールも許可が出るまで禁止)
  • 患者と他の家族のタオルやシーツ、枕カバーなどを共用しない
  • 入浴は最後にする 

夏こそ眼病から目を守る目もとケアを忘れずに

夏バテなど体調を崩しがちな夏は免疫力が低下し、目も疲れやすくなります。ウイルス性の結膜炎などに感染しやすいうえ、プールなど夏特有の事情から感染を広げやすい傾向にあります。いつも以上に目もとを清潔に保ち、ケアを忘れないようにしたいものです。

またお子さんのいる家庭ではも、夏はいつも以上に目のケアに注意を払うよう心がけるといいでしょう。

 

※ 本サイトにおける各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。個別の症状について診断、治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

この記事を書いた人

メノコト365編集部

目の健康に関するあらゆる情報を発信しています。子どもたちが健やかな目で生活できるように、小さなうちから正しい健康習慣を身につけてもらうための健育イベントを開催するなど、目の健康について意識を高めるきっかけになることを願い様々な活動をしています。

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